霊より

ある種の心霊体験なんだろうけど、幽霊を見たとかじゃないのでここに書きます。
長くなりそうなんで2回に分ける。

7年前に祖父が亡くなった。
祖父は晩年かなりボケてしまったんだが、ウチは家庭事情が複雑で、祖父自身もちょっと奇矯な性格だったため誰も面倒を見る者がおらず、当時多少時間に余裕がある仕事をしていた俺に、介護といかないまでも様子を見に行ったりトラブル発生時に対処する役が押し付けられてしまった。

生前は何度か警察の世話になったこともあったりとか色々大変で、亡くなった時はかなり後ろめたさを感じつつも、正直ホッとしたというかやっと解放されたという感が拭えなかった。

祖父の四十九日の法要の時、僧侶の読経にあわせてお焼香する段になった。
参列者は座ったままで次々と香炉を回して焼香するやり方だった。

ところが俺がお焼香した後から急に煙の流れが変になり、香炉が誰の手にあってもどんな位置にあってもなぜか煙がこちらに流れてきて俺にまとわりついてくる。
当然読経の間ゲホゲホと咳き込みっぱなしで、終いにゃ参列者からクスクスと笑いが漏れる始末。

このジジイ、最後の最後まで人に迷惑掛けやがってと呆れつつも、もしかしたら死んだ時に解放感を感じたことに非難を浴びせにきたのかもと思い反省。

法要の後で親に「爺さんが最後にお前に礼を言いにきたんだ」とか言われたが、生きてる間は一切面倒見ようとしなかったどころか、俺が相談しに言っても聞く耳すら持たなかったくせに何言ってんだか(‘A`)
今さら良き遺族のふりして美談にすんなやと呆れた。
やっぱり霊とかより生きてる人間の方がよほど残酷で怖いと感じた体験だった。

不可解な体験、謎な話~enigma~ 82

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