ゼリー状の水

アメリカで山岳ガイドに聞いた話。

ある山岳国立公園でキャンプしていた時のこと。
川で水を汲んでいると、水中の手にかかる抵抗がいきなり増えた。
まるで手の周囲の水だけがゼリーにでもなったかのようだった。

次の瞬間、ゼリー状の水が腕を伝って身体に這い登り始めた。
酸でも噴いているのか、腕に痛みをおぼえる。
動転したガイドは、自分の腕ごと近くの焚き火に突っ込んだ。
軽い火傷と引き換えに、生きたゼリーを引き剥がすことに成功したのだという。
それはするすると動いて、川の中に流れ込み、見えなくなってしまった。

上手く捕まえてりゃ、俺の名前が残ったかもな。
そう言ってガイドは笑っていたそうだ。

山にまつわる怖い話6

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