関東在住で、親の実家が東北の山の中。
お盆には両親と俺と妹で帰省していた。
で、妹は小さい頃は霊媒体質だった。
関東では特に問題は無かったが、田舎に行くと酷い。
気を抜くと、どんどん山の方へ行こうとする。
好奇心とかでは無くて、明らかに様子がおかしかった。
一番に怖かったのは川での出来事。
父と叔父と俺と妹が、家の近くの川で水着で遊んでいた。魚を捕ったり水を掛け合ったり少し深い場所で泳いだり。
ふと気付くと、妹が深い場所へ足を進めていた。
叔父が気づいて妹の傍へ行ってくれたから、溺れたりはしなかった。
妹は胸くらいの水深の場所で止まって、じっと山を見ていた。
叔父が話しかけても、あまり反応しない。
俺は俺で妹を見ながら、『ああ、妹がお山に連れてかれる』って思っていた。
何故か妹がオカしくなると俺もオカしくなって、上記の考えが浮かぶ。
俺の傍には父がいたらしいが、俺もあまり反応しなかったらしい。
で、俺は妹がお山に連れてかれるって分かってるんだけど、それを誰かに言えない。
別に身体が動かなくなったり声が出せなくなる訳ではないが、何故か妹を連れ戻そうとか誰かに言おうという気になれない。
心配した叔父が妹を抱きあげて川から出ると、妹が火のいたように泣きだした。
それで俺も大丈夫だと安堵して、普通に動けるようになった。
何が怖かったって言われたら終わりだけど、その場の空気とかも明らかに違ったし、俺は本当に怖くて未だに思いだすと鳥肌が立つ。
で、そのお山なんだけど、俺は悪いものでな無いっていう確信を持っていた。
どうしてか分からないが、凄く神聖で人間が関わっては駄目なものって感じた。
これも当時は何故か誰かに伝えようっていう気にはなれずにいた。
ちなみに、妹が田舎でオカしくなるのはデフォだったから、必ず大人が近くにいた。
そのお陰で大事に至ったことは無いけど、楽観する家系で、七歳の七五三をやったら治るんじゃね?ってことで様子をみることに。
それでも駄目だったらお祓いか病院って話だった。
まあ、それが的中して、年を重ねるごとに様子がオカしくなることも減って、小学校低学年を抜けた辺りから、完全にそれが無くなった。
俺もその頃から、お山が妹をって思うことも無くなったし、それを普通に話せるようになったから書き込みしてる。
山にまつわる怖い話64