天井の手

俺がまだ中学生だったころ、一時期、天井に手が”生”えてたことがあった。
部屋の隅あたりに、真っ白な、綺麗な手がぶらっと垂れ下がっていた。

昼夜問わず常に生えていて、電気を付けても消えなかったため(幽霊の類は電気を付ければ消えると思っていたので)最初は目茶苦茶怖かったものの、その手は俺に何かするわけでもなく、たまに少し動くだけだったので次第に恐怖心は薄れていった。

一ヶ月程経って、馴染んできたところで、いつの間にかいなくなってしまっていた(手があった場所を確認したが、特に何もなかった)。

余談だが、一度だけその手に物を持たせたことがあった。
丸めた保険のカレンダを、その手の平に当ててみた。
すると、一瞬だけ手はそれを握ったが、すぐにびっくりしたようにカレンダを慌てて離してしまった。
以来、何もその手に試していない。

誰にも見せていなかったので、他人が見れるかどうか、他人と一緒にいたら現れるかどうかは、試してないからわからない。
厨二病真っ盛りだったので、幻覚だったのかもしれない。
ただ、ほんのりと怖かった話。

ほんのりと怖い話60

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