白っぽい人

俺が子供の頃の話

なんでも精神病院帰りらしい叔父がいて、結婚もせず祖父たちと暮らしていた。
母や他の親戚には、あまり叔父と話すなと言われていたが、俺は叔父の色々な話を聞くのが結構面白くよく通っていた。

まじめで大人しい感じの人で、よく絵を描いていた。
あまり上手くはなかったけれど、スケッチブックいっぱいに描かれた渦巻や目や矢印や尖った星や何だかよく解らないものは鬼気迫るものがあった。
ある時その中にぐにゃぐにゃした白っぽい人を描いて、「おかしくなっていたときこれが見えだして毎日だんだん近づいてきた。病院に行ったら遠ざかっていって良くなった。」と話していた。

しばらくして叔父は病状が悪化し再入院して亡くなった。叔父の遺品を整理していて、スケッチブックを開いたら最後のページに「あれがまた近づいてきた」って書いてあった。
数年前に祖父が亡くなった時も、死の直前に白っぽい服を着た医者や看護婦に怯えてたみたいだけどなんか関係あるのかな。

てか、親戚の中で叔父の存在自体ほぼ無かったことになっていることの方が俺的にはほんのり怖い

ほんのりと怖い話63

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