重苦しい爆音

岩手住まいなので、今日聞いた話

当方は岩手の南部地域の生まれなんだけど、ある日、若かりし頃の親父が畑で土いじりしていた時だった。
突然「ドーン!」という重苦しい爆音が空の北の方から聞こえ、一体何だとばかりに親父はハッと顔を上げて空を見上げた。
けれども空には何の変化もなし。当時は爆音機すらなかったから「今の爆発音は何だったんだ?」と思いながらも、親父は畑仕事を再開したという。

その日、畑仕事に疲れ果てた親父は、テレビを見て絶句した。
自衛隊機が旅客機と接触し、旅客機が山中に墜落したというニュースが繰り返し流れていた。
その日は折しも1971年の7月30日、あの有名な「慰霊の森」の事件を起こした雫石全日空機墜落事故の、まさにそのときだったという。
実家は事故現場からゆうに100キロ位上は離れてるけど、親父はその爆音を確かに聞いていたのだ。

事故調査書によれば「事故発生時の衝撃音は○○市まで聞こえた」らしいので、まぁ聞こえたのはまず間違いなく、件の接触事故そのものの音だったのだろうが。

面白いのは、2011年の3.11のとき。北東北の人間なら覚えていると思うが、3.11の一時間後ぐらいに地面の摩擦によって発生した静電気による雷鳴が「ドーン」と、ただ一発だけ轟いたのを覚えているだろう。

あの時の「たった一発だけの雷鳴」の音は、親父に言わせれば「地震で飛行機が墜落したのかと思った。本当に背筋が凍った」と言うほど、かの「慰霊の森」の事故発生の時の音に似通っていたそうだ。

山にまつわる怖い話66

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