俺、電気屋やってる親父の手伝いしてんだけどこないだあった話。
テレビが映らなくなったってお客さんの家に行ったんだけど、テレビは悪くなく、どうも電波が悪いみたいで屋根上ってアンテナ見てもどうもない、これは天井裏見ないといけないなって事で親父が入っていった。
俺はテレビの電波を測って待ってようとアンテナ線を計器に繋いでたら
「何やってんだゴルァ!!!!」
って親父の怒声が聞こえてきた。
え?俺なんかした?とか思って天井裏の蓋の下まで行って聞くと
「いや、いい・・・」
て普通の親父の声が返ってきた。
5分くらいして電波が通るようになりテレビも映った。
それから親父はお客さんに分配器から線が外れかけてたとか、さっきの怒声は俺が何やら間違った事をしたとか言ってお客さん家を後にした。
車で帰ってる途中、間違った事した記憶もなく合点がいかない俺に親父が答えた。
その話によると、天井裏上がってアンテナ線を手繰っていくと奥に何やら動く影がある。
懐中電灯で照らしてみると3歳くらいの男の子が居てアンテナ線を引っ張ってたそうだ。
真っ暗で埃被った天井裏に男の子、この異様な状況に親父は即座に怒り飛ばすと、男の子は親父を睨み付けて消えて言ったそうだ。
「30年電気屋やってるとこういう事はたまにある」
たいがいのお客さんはネズミと思って過ごしてるらしい
ほんのりと怖い話72