キリストの絵

おっさんだけど、小学生の頃の不思議な体験を書いておきます。

取り壊し中の廃墟へ友達4人で探検に行ったんだよね。
住宅街にある一軒家で、頑丈そうな作りだったから鉄筋コンクリートの建物だったと思う。
建物部分はほぼ壊され、基礎の部分がむき出しになっていたから、探検する事もあまり無くて、早々に引き上げる方向になっていた。

すると、友達の1人が地下へ続く階段を見つけ、皆が一気に興奮。とりあえず降りてみたんだよ。

地下室は4畳くらいで小さく、階段も数段降りる程度だから半地下のようなものだろうと思う。
天井から光が差していたから、どこかに工事で出来た穴があったのだろう。
薄暗い中で友達が何かを見つけ、なんだこりゃ?と言った。
その方を見ると、部屋の壁に立てかけてある一枚の絵があった。なんとなく、素人が描いたようなあまり上手ではない絵であった。
その絵を持ち出して、コンクリートの崩れた壁に立てかけた。

大きめの画用紙サイズのキャンパスに、キリストが描かれている。
上半身だけで、比較的のっぺりとした感じの顔で、目を見開いている。
右手を軽くあげて、手のひらをこちらに見せているのだが、その手のひらいっぱいに大きく見開いた片目が描かれていた。

ちょっと気味の悪い絵で、無表情のキリストと、手のひらに描かれた目を見ていたら、その日のどんよりした天気も相まって、なんとなく「帰ろうか」となった。

自転車に乗って、2.3分経ったころ、前を並走する2人の友達が、「わぁっ!」と叫んで自転車を止めた。
追いついて見ると、1人の友達の内腿が刃物で切られたようにパックリと切れていた。
10センチほどの傷なのに、本人は全然痛くないようで、血もほとんど出ていなかった。
切られた友達の家はそこから坂を下ったすぐなので、皆で家へ連れて行き、その後母親と病院へ行ってしまった。

次の日、高熱が出てしまったため学校を休んでしまい、その後友達はどうなったか気をもんでいた。
翌日になると嘘のように治ったので、登校してすぐに一緒に見た友達に状況を聞いたところ、他の2人も高熱を出して休んでしまったらしい。
切られた友達は2日後くらいに来たけど、たしか傷が跡形もなく治っていたような。

不可解な体験、謎な話~enigma~ 107

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