昔牛丼屋でバイトしてた。時間帯は23~8時。
店長とトラぶって忙しい店舗から暇な店舗に移籍し、その店は暇すぎるからと、0~5時は1人運営だった。
まぁ、おおよその見取り図を先に↓(崩れてたらスマン)
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|店長| |休 |
|__室 憩 |
| バック |室 |
|___ _________|___|
| |トイレ|
|_____ ______|___|
|___ | | | ____|
| | | | |○ | |
| ○| | | |○ |____|
| ●| | | |○ ____|
| ○| |__| |○ | |
| ○|______|○ |____|
| ○○○ |
|___________________|
このカウンター席の●の所に、2時すぎに現れるオッサンがいた。
個人的には【メガネのオッサン】と呼んでた。
存在に気付いたのは、1人運営をし始めた頃。最初は2人運営だったんだけど、まぁ割愛。
1人だから休憩要員が近くの店舗から派遣されるまで出来ない。
その店舗ってのが俺が元々属してた店舗なんだけど「忙しいから」って理由で、4時過ぎぐらいに寄越したりするもんで、やることをやりつつ、人がいないときに一服つけてた。したら、「すみませーん」と声が。
(え、客きてたのか!?)と灰皿バケツに煙草を投げつつ「いらっしゃいませ」とか言いながら休憩室から出たら、誰もいない。気のせいかと思ってその日は終わった。
翌日の深夜、店長室で煙草を吸いながら、在庫チェックしていると、昨日と同じ声で「すみませーん」。また急いで煙草を消して出ると、いた。カウンター席に。
でも一瞬で消えた。そこで確信した。
声の正体が、眼鏡にうすら禿の、メタボなおっさん霊だと。
その他特徴は、ヨレヨレのラクダ色したポロシャツと焦げ茶のスラックス。
足元までは流石に見れなかったが、そんな感じのおっさんだった。
正体掴めたし、悪い感じしないから、特に気にも留めなかった。
おっさんは人がいるときは現れなかったし、大して害じゃなかった。
ただ、客がいなくなっては「すみませーん」と声をかけて、焦った俺の姿を見て、ご満悦に消える。少し煩わしさはあったw
そしておっさんは悪戯が大好きだった。
1人運営だから、トイレは客がいないときに素早く行くしかない。
そうやって慌ててトイレに行くと、ドアをドンッと叩いてみたり、店内に足音を鳴らしたりして焦らせる。
また、一服休憩中に声をかけるパターンは少し飽きたのか、キッチンタイマーを急に鳴らしたりして驚かされたこともあった。
俺以外の奴が1人運営してるときも悪戯してたようで、「急にトイレノックされて焦った」だとか、「タイマーが勝手に鳴る!」だとか気付いたら、うちの店舗は周辺店舗から【幽霊が出る店】と言われるほどになった。
そして2年ほど、おっさんとの付き合いが続いたのだが、売り上げの少なさが原因で、店が閉店することになった。
俺もそれと同時に辞めることにして、俺が担当する最後の深夜営業。
おっさん悲しむかな?とか思っていたが、おっさんはいつもの同じ。
「すみませーん」と声をかけていなくなった。
ほんのりと怖い話93