車の上に

友人から聞いた話です。
真偽のほどは分かりませんが、彼の口調は真剣でした。

去年の夏、彼(以降K)は同じ学部の友達と二人で、やや遠くまでドライブに出かけたそうです。
小雨はぱらつき、あまり快適とはいえない天気でしたが、そこそこ楽しんだ帰り道。
人家も少ない、車の通りも激しくない道だったと聞いています。
Kの後ろを走っていた友人が、突然Kに向かってパッシングしました。

Kは、彼がいつものようにふざけていると思ったらしく、相手にしませんでした。
ところが、少し進んだところで、後ろの彼が、さっきよりも一段と激しくパッシングを繰り返し、クラクションも鳴らしだしたのです。
「なんや、あいつ。ええかげんにしとかんかい」と思ったKは、路肩に停車し、続いて車を停め急いで降りてきた彼に注意しようと思っていました。

顔面蒼白な友人。それを見て怒りが困惑へと変わったK。
友人が言うには「おまえの車の上に和服姿の女の人が乗っとった」
「しばらく正座しとったその女性が、突然サンルーフをこじ開けておまえの車ん中に入ってった・・・」
なんじゃそら、いたずらにも程があると思ったKは、ともかく車に戻ろうとドアを開けました。
サンルーフは全開し、車内は降り続ける雨で濡れていたそうです。

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?25

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