廃屋の話

前に働いてた会社での話。

会社を移転する計画が出て、候補地の土地買収の手伝いをさせられた。
用地の大半はスムーズに取得出来たが、一区画だけボロボロの廃屋が建ってる土地があった。
金貸しとかから抵当付けられまくってる面倒な土地なんだろうな~と思って、登記簿を見てみたら、まっさら綺麗なもんだったんだけど、短い期間に所有者が変わりまくってる。

大抵、廃墟の登記簿に載ってる所有者って亡くなってたりして、行方不明で連絡が付かなかったりするもんだけど、すんなりと所有者と連絡が付いたんだ。
だけど、「あの土地の件で」って連絡すると、露骨に不愉快な口調に変わって、こりゃ、法外な値段で吹っ掛けてくるつもりか、『想い出のつまった生家だから取り壊したくない』とか言ってきて揉めるんだろうなって思ったんだ。

でも所有者からは開口一番、「本当に買ってくれるんなら売るけど、あそこは祟られとるぞ」なんて言われた。
これには同席してた社長やら司法書士やらも少しの間、開いた口が塞がらなかったけど、詳しく話を聞くと、あの土地(家)で生活してると、若い女の幽霊が夜な夜な出てきて、『苦しい、苦しい』って泣きながら訴えてくるんだそうだ。

毎晩毎晩、出てくるもんだから家族もすっかり疲れてしまって、(旦那さんの所だけじゃなく家族全員の所に出るそう)ある日、堪り兼ねて奥さんが実家に帰ると言い出したんで、憔悴しきってた旦那さんも含め家族全員で奥さんの実家に一時的に引っ越したら、パッタリと女の幽霊は出なくなったとのこと。

それから、住む事はしなくなったものの、何度となく霊能力者やら坊さんやらを呼んでお祓いをしてもらったが、その家で夜に寝てると、やはり同じ女の幽霊がでるんだそうで。
ある霊能力者には、「ここに憑いてる霊は念が強すぎて手に負えない。だけども強すぎる念故に、この家からは一歩も離れられないから、 この家から離れて暮らせば害は及ばない」と言われたそうだ。

霊能力者やら坊さん呼んだりしてたもんで、近所にはすっかり幽霊屋敷として知れ渡って、全く買い手がつかなくなったそうだ。

会社幹部からは、買い取って供養するなりしてから家を取り壊して、供養塔なり地蔵なりでも隅っこに建てておけなんて意見も出たけど、やはり曰く付きの土地は止めとけって結論になって、土地の購入は見送った。

今は買収済みの土地の一部には会社の倉庫が建ってて、例の廃屋に隣接してる部分は木を植えて、そこに小さな地蔵を安置した。
ちなみに、倉庫は会社から遠いのと、廃屋の話が社員に知れ渡って誰も行きたがらず、ほとんど使ってない。

ほんのりと怖い話100

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コメント

  1. 匿名 より:

    なんでわざわざ言ったんだろう?