年長さんくらいの頃、婆ちゃん家に泊まった時に、怖い夢を見て夜中に起きた。
暗い客間に一人なのが怖くて、婆ちゃんのとこに行こうとしたけど、真っ暗の廊下も怖くてわざとバッタバタ足音たてながら廊下を走り出したら、居間が明るかった。
襖を開けて走り込んだら、婆ちゃんがヤカンとか置けるでかいストーブを拭きながら「どないした?」ってきょとんとしてた。
なんかそれが凄く安心できて、べそかきながら「怖い夢みてな、その夢でな」と話し出そうとしたら、「夢の話はそのまましたらあかん、外に出てきよる、怖い夢なら尚更や」という内容をくどくど説教されたあと、「口に出す前にゆめゆめそらゆめ言うとき」と言われた。
で、「ゆめゆめそらゆめ」と唱えてさあ夢の話をと思ったら、内容がさっぱり思い出せない。
嘘ついたって怒られたくなくて、またべそかきながら本当に見たんだとぐずってると、婆ちゃんが抱き締めて背中をとんとん宥めてくれた。
生意気にそんなガキじゃねえし、とか思ったのを覚えてる。
でも婆ちゃんの手は魔法の手だから寝てしまった。
起きたら客間に一人で、ちゃんと布団で寝てた。
朝御飯中に婆ちゃんから「寝入り端にバタバタ走ってからに」と叱られた。
怖い夢見たから婆ちゃんとこ行こうと思ってって言ったら、「深う息して頭から布団被るやろ、ほんで10数えたら寝て忘れるわ」とカラカラ笑って切り捨てられた。
夜に抱き締めてくれたあの婆ちゃんは?と疑問に思う反面、これが正しく家の婆ちゃんの対応だわ、となんか納得してしまった。
ほんのりと怖い話109
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忘れられるのか、いいことを知った