小学一年生の時、家の近くにある川で1人で魚を釣って遊んでたら、足を滑べらせて川に落ちた。
流れは緩やだったし今思えばそんなに深くもない小さな川なんだけど、その時の俺は身長順に並ぶと腰に手を当てる役になるくらいチビで、ついでに泳げなかったもんだから案の定盛大に溺れた。
服が腕とか足に纏わり付くついて重くてまったく浮けなくて、必死に助けてって叫んだけど周りには誰も人がいなかった。
そんでついに沈んでしまった。
やばいこれ死ぬやつって苦しくて怖くてパニックで、だんだん意識が不明瞭になっていくのが本当に怖かったよ。
で、ここから怖い?不思議?な話なんだけど、なんか底の方から何かが来て、沈んでいく俺の背中にドンッて当たったんだよね。
一回だけならゴミか何かだと思うんだけど、何回もドンッドンッって結構な力でぶつかってくる。
そのうち足がその何かに掴まれて、岸まで引きづられてった。
俺自体その時ほとんど意識無かったんだけど、よかった、助かったって安心したのを覚えてる。
次に目覚めた時は病院のベッドの上で、泣いてる母さんに抱きしめられてた。
びしょ濡れで気絶してる俺を、犬の散歩してた人が見つけて救急車呼んでくれたらしい。
掴まれた方の足首にガーゼ当ててあって、剥がしたとき足を1周するように4本の痣が等間隔で残ってて、あれは本当にあったことなんだって思った。
母さんにも医者にも痣のこと聞かれたけど、俺もよく分からなかったし黙ったまま押し通したわ。
あれから20年近く経つけど、俺を岸まで引きずってくれたあれは何だったんだろうってずっと気になってる。
ほんのりと怖い話117