学生時代からアルバイトで総合大工のような事をやってた。
水道もガスもプロパンも家も道も電気も、田舎なんでなんでもやる職場だった。
その仕事のうちの一つなんだけど、詠地(よみじ)さんを呼んで来るってのがあった。
詠地さんは普段はお寺の和尚で、風水なんかもしてる。
多分職業の名称だと思うけど、新しく家を建てる時なんかに来る人。
地元の人の認識だと、土地で何があったかなどの事柄に精通してる人って認識だった。
高校の3年間そこで働いたけど、建設許可が出なかった事なんて無かったんだけど、俺が社会人になってから結構頻発して、詠地さんからNGが出る事があった。
おっさん達と一緒に会社のユンボとかを使って面白がって掘ったりした。
遺跡が出てきたり村上水軍の物だったと思わしき旗のようなものが出てきたりするから、みんな面白がって今までNGが出た所を夜中に掘り返そうって話になった。
おっさん達はノリノリで、高校生達も22時くらいまで連れ回す事にした。
昔の記憶を頼りにおっさん達が「ここらへんやったかな?」とか言いながら掘った。
人骨や土葬時代の名残なんかも出てきて気味悪がって楽しんだ。
詠地さんが言った所は全部掘ったんで、地元の曰く付きの場所を掘り返してみようって事になった。
最初はみんな乗り気だったけど、亀の伝説が残る地に行こうって話になり、そこでおっさんが1人脱落した。
理由は、そこで影のバケモノを見たことがあるからだそうだ。
そんな事は気にせずに、俺たちは亀の伝説が残るススキ野原を掘り返した。
掘り返していくと大きな岩にあたった。
ユンボが小さくてどけれないし、周りを掘ってみたら遺跡のような物が出てきた。
中は洞窟状になっていて、入れるしきれいだった。
奥に行くと般若のお面がたくさんあった。そこらじゅうに落ちてた。
その先に大きな布をかぶせられている箱のような物があって、それを見た瞬間におっさんの1人が「帰ろう」と言い出した。
仕方なく帰る事にして、その日を境に掘り起こしたりする遊びは終わった。
その後、匿名で電話をしてすぐに調査されて新遺跡発見がニュースになった。
中にあった大量の般若のお面については報道されなかった。
参加した人達はみんな無事だけど、あのおっさんが帰ろうって言った原因がなんなのか気になる。
ただそれだけの話でオチも無くてなんかごめん。
ほんのりと怖い話124