見舞い

20年前、足の骨を折った友人の見舞いに行った時の実話

その日も午前11時くらいに病院についた。
というのも患者は見舞い客が来ていて11時半までに連絡すれば、(貧相な病院食ではなく)院内の食堂で味付けの濃い食事ができるからだ。

エレベーターで4階の病棟まで上がる。
受付に誰もいなかったが、とりあえず自分の名前と病棟に来た時間を書いた。
通路の一番奥の左の病室に行ってみたが誰もいない。(後から思い出すと、途中でも珍しく誰にも出会わなかった)
友人はまだリハビリ中なんだろうが、6人部屋の他のベッドにも人の気配が無かった。

まあいいかと思ってお見舞いの本を友人のベッドに置いて、病室の真向かいにある談話室に行ったがここにも誰もいなかった。
積んである雑誌の中から1冊選んで、室内の左奥にある喫煙スペースに入った。(アクリル板が仕切りだから外からでも見える)
窓際の椅子に座って、タバコを吸いながら雑誌を読んだ。(2本くらい吸ったと記憶している)

ふと時計を見たら11時25分くらいになっていた。
そろそろリハビリも終わっただろうと談話室を出たら、看護婦さんと鉢合わせになった。
連れられて友人の病室に入ると友人がベッドにいた。
どこにいたのか聞いてくるから「いや向かいの談話室だよ」と説明したが、友人曰く看護婦さんが何度も確認したが誰もいなかったらしい。
病室を見てみると他のベッドにも人の気配がした。

まあ何とか友人は病院食ではなく食堂で今日の日替わり弁当にありつけたわけだが、食事中何度も「本当にどこにいたんだよ?」と質問された。
友人の見舞いには10回くらい行ったが、そんな事は1度だけだった。
病室と談話室以外に行くところなんてないんだけどな…

ほんのりと怖い話140

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