谷のくだん

後輩の話。

女の子二人だけで、ある渓谷の観光に出かけた時のこと。

渓谷近くのバス停で出会った小母さんに注意されたという。
このあたりの山谷を歩く時は、くだんに気をつけるんだよ。

くだんとは何かと聞くと、人間と動物の合いの子みたいな人面獣身の化け物で、山に入った女性に悪さをすると教えられたそうだ。
襲われた女性は、また別のくだんを産むのだという。

本当なんだよ、私は実際に、猿のくだんと熊のくだんを見たことがあるんだ。
小母さんは真面目な顔で、声を潜めてそう言った。

信じたわけではなかったが、人影のないコース外の道は歩かなかったそうだ。

山にまつわる怖い話4

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