毛だらけの黒いもの 2019/4/10 雷鳥一号 知り合いの話。 真夜中、テントの中で休んでいた時のことだ。 外の荷物をがさごそする音で目が覚めた。 熊だと誰かがささやき、皆は緊張して息を殺したのだという。 その時、外から男の太い声がした。 ろくな物がねえなあ。 驚いて入口を開けると、大きな毛だらけの黒いものがいた。 身体は熊だったが、顔部の真中についていたのは白い人間の顔だった。 そいつはニヤリと笑って山の中に消えた。 チョコレートや蜂蜜などの、甘い非常食だけが失くなっていたそうだ。 山にまつわる怖い話4