新婚の頃、暇を見つけては嫁とよく山道をドライブしていた。
その日もいつものコースをたどりあと少しで山のトンネルというところで、
道路脇にジュースの自販機を見つけ、何気なく休憩したくなった。
丁度車一台止めれるくらいのスペースがあり、
そこに車を止め缶コーヒーで一服。
すると、道路からは木々に遮られて見えなかったが、自販機の後ろが空き地になっており、そこに古そうな神社があった。
こんなところに神社があったのかと少し奇妙に思ったが、これも何かの縁と参拝だけして、そのままドライブを続けた。
それ以後も何度かそのコースを通ったが、神社のことは忘れてしまっていた。
何年かして、ある夜嫁の夢にその神社の神様が出てきたそうだ。
とても優しげで、いつも私たち夫婦を見守ってくれているとのこと。
翌朝それを聞いて嬉しく思い、二人でお礼参りに出かけることにした。
久しぶりの山道だったが、何度も通ったコースなので場所ははっきり覚えている。
しかし、神社があったと思しき場所は古い木々が立ち並ぶ山の斜面で、神社や空き地はおろか自販機も車を止めるスペースもない。
周辺を何度も往復して探したが何もない。
仕方ないので、心の中でお礼だけ言って、嫁と二人、首をひねりつつそこを後にした。
山にまつわる怖い話19