俺が中学生の頃の実家での話。
実家は今でこそ鉄筋コンクリだけど、当時は木造建築の古い家だった。
その日は夏休みだったか日曜日だったかは忘れたんだけど、昼間の家に俺ひとりきりだった。
で、居間でスト2ターボをやってると玄関の方から「こんにちわ~」っておばちゃんの声がした。
当時は田舎だった事もあって玄関に鍵なんてかけなかった。
だから近所のおばちゃん達が勝手に入って来て、それから声を掛けるのなんて当たり前の事だった。
だから、この時も「あ、誰か来た」ぐらいにしか思わなかった。
スタートボタンでスト2ターボをストップさせてから
「はーい」
とか言いながら俺は玄関に向かった。
けど誰もいなかった。
あれ?とか思ってると今度は居間の方から
「こんにちわー」
って声がした。
ちょっと説明しづらいんだけど、居間は小さな庭に面していて、その庭もフルオープンで誰でも入り込めた。
だから短期なおばちゃんが直接、庭の方にまわったんだと思って
「はーい、今いきまーす」
とか言って居間に戻った。
でもガラス越しに庭を見ても誰も居ない。
いい加減イラついて「ババァ何がしてぇんだ!」とか思いながらシカトする事にした。
で、テレビの前に座りコントローラーを握ったらまた
「こんにちわー」
って玄関で聞こえた。
そん時、あれ?と思った。
よく考えたら玄関が開く音がしてねぇ。
その玄関は木枠に磨りガラスを嵌め込んだ引き戸で、開ければガラガラと音がするはずなんだけど、よく考えたらソレが無い。
それに気づいたらスゴく怖くなってきて、背筋がぞーっとすると同時に、コントローラーがビショビショになるほど、一気に汗が吹き出した。
俺はとにかく気配を消さなきゃ!と思って、ポーズ画面にしたままじっと息を殺した。
そのまま何分間か、じっとダルシムだけを見つめていた。ダルシムの赤い刺青みたいなのを、じっと。
そしたら突然
「こんにちわー!」って耳元で挨拶された。
「うぉわぉっ!」
なんて事を叫びながら、振り返っても、やはり誰もいなかった。
それで終わり。
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