あんまりこわくないかもだけど…
この間の盆に帰省したんだが、うちの実家はいわゆる本家筋なんで、分家と言うか父親の兄弟が挨拶にやってくる。
本家筋って言っても特に金持ちじゃないし母親曰く『親戚をもてなす分うちが割り食ってる』とか言うそんなレベル。
でも中途半端に田舎の農家(父の代で離農)だから家の敷地は広いし、母屋のほかに養蚕用の離れや蔵はある。
子供の頃なんかは養蚕用の離れ(一回が農機具置き場で二回が養蚕部屋)で秘密基地ごっこなんかして従兄弟達と遊んでたんだけど、そこで遊ぶ時だけ祖母ちゃんの作った法律があった。
法律って言ってもまぁ、遊ぶ時の決まりごと見たいなもんで「床が痛んでるかもしれないから暴れない」とか「ネズミや虫がたかるから菓子は持ち込まない」とかまぁそんな感じのもんだったんだが、いくつか変な決まりがあった。
具体的には
「養蚕部屋にお手玉は持ち込まない」
「黒いくらげを見たら大人を呼ぶ」
「黒いくらげが出たら刺されるから絶対に触らない」
とかまぁそんなの。
私は親戚の同世代末っ子(年長とは15歳近く離れてる)で何かと子ども扱いされてたんだけど、特にこの法律を守るよう厳命されてた。
ちなみに家は海なし県でくらげなんて片手で数えるくらいしか見たことがない。
ついでにお手玉っていうのは祖母ちゃん手製の豆?が入った古い奴だけど、これは今回のお話には関係ないです。
ココまでが前提。長くて申し訳ありません。
今年の夏に帰省した時、既に親たちは真昼間から宴会をやってた。
田舎だし盆だし孫かわいいしで毎年恒例なんだけど、私はアルコールアレルギーで酒が飲めなくて、ずっと宴会場の縁台で同じく酒が飲めない従兄弟とゲームやることに。
だらだら狩りしてたらその内、従兄弟が急に黒いくらげの話を振ってきた。
子供の頃の脅かし話なつかしいwwwっと思って顔を上げたら、離れの二階の窓が見えた。
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離れ
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中庭
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母屋
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ちなみにこんな感じ。広間は中庭に面してる。
で、その離れの二階の窓際に黒いくらげがいた。
「あ、黒いくらげだ」
っと思った瞬間、息が出来なくなった。
胸がぎゅうっとなって舌が上あごにぐーっと張り付いて目がチカチカして首が引っ張られる感覚がしてとにかく苦しかった。
目の奥が熱かった。
指の先がしびれた。
何ぞ?っと思ってるうちにブラックアウトした。
目が覚めたら仏間で寝てて、両親や親戚や従兄弟が騒いでた。
うるさいなーっと思ってむっくり起きたつもりが垂直飛びしてた。
布団の上ピョーン!って感じで。すっごい軽快な動きだったと思う。
この辺り意識がクリアで面白かった。自分をものすごく客観的に見れてた。
もちろん場が凍った。
で、父がいきなりタックルかましてきて転がされたと思ったら、担がれてドドドっとものすごい勢いで水風呂にぶち込まれた。
浴槽に頭ぶつけるわ水風呂冷たいわで何やってんだ!と思ったけど父が私の顔を両手で挟んで
『うちにはもういますうちにはもういます』
『あなたはまつれませんまつれないんです』
って言って泣いてた。
そんでまた気を失った。
再度目が覚めたら宴会場の上座で酒瓶抱えて鮎齧ってた。
宴会場には誰もいなくて敷居の縁の外側で両親+親戚達がこっち見てた。
どうも私は酒を飲んでたらしく一気にじんましんが出来て食ってたものを吐き、口中の痛みでのたうちまわって救急車で搬送された。
幸い命は取り留めたけど、帰省の半分は病院のベッドで過ごした。
見舞いに来た家族や親戚は口を揃えて「気を失ったのはなんかのフラッシュバック」だってさ。
暴れたり酒を飲んだりは一種の錯乱状態?だったらしい。
この辺りは何かフワフワと説明聞いて、退院したらお寺行って母屋裏の何かのお社にお参りした。
お参りのと気に「あ、これで黒いくらげ見たの3回目だなー」って思い出したんだけど、うちの親も何も言わないから気にしないようにしてる。
どうでもいいが、何のフラッシュバックかは覚えていない。
ただ離れの二回に黒いくらげがいたってことだけは覚えてる。
自分でもなんで身を起こしたつもりが垂直飛びしてたのかはわからない。
マサイの戦士でも乗り移ったのかって感じだった。
以上、あんまり怖くないですが今年の夏の帰省にあった出来事でした。
長文で申し訳ありませんでした。
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