真っ白い何か

同僚の話。

真冬日が続くと、山里では水道管の破裂故障が多くなる。
大雪が降ったある寒い日、彼も修理で駆けずり回っていたという。

山中の小さな交差点で信号待ちをしている時。
信号灯近くの電線に、真っ白い何かが動いていることに気がついた。
黒い電線に絡みつくように、細長い物がゆったりと這い進んでいる。
まるで大きな白い蛇か尺取虫かのように見えたそうだ。

じっと凝視しているうち、不意にそいつは「ずるりぃ」と滑り始めた。
必死で電線にしがみつこうとしているようだが、滑りは止まらない。
一息つく間もなく下の道路に転落し、濡れたアスファルトの上でパーンと弾ける。
まるで雪合戦の雪弾が落ちた時のように。

後続車がいないことを確認し、車から降りて見に行ったという。
道路の上には散らばった雪片しか残っておらず、生き物の姿は何も見えなかった。

山にまつわる怖い話18

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