客の行き先

武田鉄也が十年ほど前にテレビで喋ってたネタ。

たまたま乗り込んだタクシーの運転手の喋ってた話が「怖くないのにすごく怖かった」。

ある雨の夜、そのタクシーの運ちゃんが新宿のMビルの前で客をひろった。
客はどこといっておかしなところのない、普通のサラリーマン。
行く先は渋谷Kビル。道中、不思議なこともなく、Kビルに到着。

客をおろしたとたんに、こんどは若い女がタクシーを止めた。
行く先は新宿Mビル。
珍しいこともあるもんだと思いながら、運転手は折り返し新宿に車を走らせる。
なんと、この夜は四往復、おなじことがつづいたそうだ。

その次の夜も、新宿の、そのビルの前を通りかかると、必ず客がいる。
そして、なぜか客が手をあげる瞬間、まわりにはタクシーの姿が見えず、その客をのせざるをえないことになってしまうのだという。
のせると必ず行き先は渋谷Kビル。

客はみんな普通の人たちで、挙動不審な様子はかけらもなし。
怖くて新宿にはいけなくなったと、その運転手は話していたらしい。

ほんのりと怖い話1

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