先輩の話。
彼の父方の実家は、現在廃村になっている。
学生の頃、そこで仲間たちとキャンプしようと計画を立てたそうだ。
街からそう遠くないし、RV車でならすぐ近くまで行けるし、水場も残っている。
穴場じゃないかと、調べた皆が思ったという。
「止めとけ」そう言ったのは彼の父だった。
「あそこは時々、すぐ横の山から何かが下りてくるんだ。 村じゃクダリモノって言ってたけどな。その昔は穴掘ったり、鏡を据え付けたり色んなことをして追い返してたけど、段々効果がなくなってきたんで、結局村を引き払ったのさ。何でそこそこ便利の良い立地で廃村になったのか考えてみろ。何事にも理由っていうのはあるもんだ」
ただ、何が下りてくるのか、そしてそれが下りてきて何をするのか、親父さんはついに教えてくれなかった。
結局その村には近よらず、近場の有料オートキャンプ場を利用したそうだ。
山にまつわる怖い話21