鹿児島の旧家である本家にあるものなんだけど、俺は中学のとき、一度だけ見せてもらったモノ。
「直視できない石」って言われてるものを見せてもらった。
正式な名前は別にあるけど、それを書くと本家の名前がバレちゃうから書けない。
で、その石は締め切った土蔵の中でだけ見せてもらえた。
数本の蝋燭の火だけある中で、小さな箱の中に、鉄の箱が入っててさらにその中に、厚手の布で包まれたそれがあった。
妙に立方体に近い黒曜石って表現が正しいと思う。
色は蝋燭の光にあおられてから、よく思い出せないけど、たぶん黒曜石のようにガラス質の黒い色だったんだと思う。
だけど、奇妙なのは角ばってるはずのその石の角が、ハッキリ見れないこと。
台に置いあって誰かの手の上にあるわけじゃないのに、輪郭がブレているように見える。
目を凝らしてみても、よく見れなくて、本当にその石がそこにあるのかが疑わしいような感じ。
まるで、立体映像のような...でも実体は確かにあった。
コレってどんな鉱石だったのか、調べてみても近いものが見つからない。
不可解な体験、謎な話~enigma~ 30