見つめるモノ

これは俺の大学のサークルの先輩が体験した話なんだけど。

その先輩は一人暮らしをしてたんだけど、深夜に腹減ったからコンビニに何か買いに行こうと思って部屋を出た。 当然すぐ帰ってくるから部屋の鍵はかけないで。
コンビ二は歩いて5分くらいのとこにあって、先輩は立ち読みをしてから買い物をして15分くらいそのコンビ二にいたらしい。

そんで帰り道で自分の家が見えるくらいの所に来たとき、ふと自分の家の窓を見たんだ。
すると明かりをつけっぱなしで行ったはずなのに明かりが消えていた。
夏のちょうどお盆の時期くらいだったから暑くて窓は開けっ放し、カーテンはレースのだけしかしてなかったから明かりがついていたら絶対わかるはずなんだけど・・・。

おかしいなぁ消して行ったんだっけ?って思ってまじまじと見ていたら、不意に何かが動くが見えた。
先輩はぎょっとした。
部屋の電気が消えていて暗くてよくみえないから見間違えたんだと思いもう一度しっかり窓をみた。

するとやっぱりアパート2階の先輩の部屋で人影らしきものが横揺れしてるが見える。
先輩は空き巣だって思ったらしい。だから全力で走ってアパートの階段の前までいって警察に連絡した。

階段から降りてきても、顔の特徴とか服装をおぼえておけば捕まえる手がかりになるとおもって階段の下の駐輪所のところにかくれて警察を待った。
電話して2分もしないうちにパトカーが二台来て5人の警官が来た。
先輩は警官に部屋番号を教えて見に行ってもらった。

先輩は下で部屋を見に行った警官2人がもどってくるのを他の警官3人と待っていた。
深夜2時半すぎだったから野次馬は一人もいなかったらしい。
すると待っていた警官の無線に連絡があった。

「こちら○○、部屋の中異常なし。不審人物はいません。」
えっ?いないの?マジかよ見間違いかよ。スゲー恥ずかしいな一人でこんな騒いでって先輩は思った。
で他の警官と一緒に部屋を見にいったんだけど、部屋の中はやっぱり誰もいなくて何も盗られたり、壊されたりしたものがなくて先輩の勘違いという事になった。

誤報だったこともあり、部屋の鍵をかけずに外に出たことや深夜に出歩いていたことなど警官に注意されて、先輩は平謝りだったらしい。
そんで警察がみんな帰って自分の部屋で何やってんだ俺って自己嫌悪におちいった後、コンビニで買ったカップ麺でも食うかなぁってときに何か部屋が暑いなと思った。
窓をみたらカーテンがしまっていて窓も閉じられていた。
あれ?警察の人が閉めたのかなぁ?って思って、カーテンを開けて窓を全開にした。

するとさっき先輩が帰り道で部屋の窓を見上げたところに人影が見えた。
人影はふたつ。青年と若い女性。どうやらこちらをうかがっているみたいだ。
なんだカップルの野次馬かよ。先輩は見せ物じゃねーぞと思ってその二人を睨んだ。
しかしそのふたりはじっとこちらを見据えている。

先輩はその時思った。なんだあいつら全然うごかないでこっち見てる。なんなんだあいつら気持ち悪い。
そう思って先輩は睨むのも忘れて彼らから目を離せないでいた。
しばらく呆然として彼らを見ていた。

ふとわれに返り先輩は窓のカーテンを閉めて彼らを見るのをやめた。
カーテンを閉める際、最後に彼らをチラ見したとき、まだ彼らは先輩を見ていたらしい。
先輩はなんだか気持ち悪くなり玄関のドアの施錠などを調べたあと電気を消して早く寝ようと思った。

どうせ今のはまた見間違いだろう。遠いから見間違ったんだ。きっとそうだ。暗いしただ明かりついてる部屋を眺めて話でもしていたんだろうと思うことにした。
でもなんだか気になって眠れない。もう一度確かめて安心して眠ろう。そう先輩は思った。そしてもう一度さっきの彼らのいた場所をみた。

あぁもういない。やっぱりただ明かりを見ていただけのカップルだったかと安心した。そして不意に窓の下を見た。
彼らが先輩の窓の真下で先輩のことを見上げていた。二人には表情がなくただ見上げていた。

先輩は彼らと目が合うと背筋が凍り、鳥肌が体中にでたそうです。
そしてすぐに窓を閉め、鍵をかけて先輩は外が明るくなるまで震えていたといいます。
先輩はそのとき思った、こいつらは人間じゃない、人間の形をしているけど絶対違う、と。
そしてもしかして自分がさっきみた部屋の人影は彼らだったんじゃないかとも思ったそうです。

その後先輩は其処からすぐ引越し彼らを見ることもなかったという。
一体彼らが何がしたかったのか今でもわからないそうです。

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?223

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