トイレットペーパー

私が小学5年生の時に体験した出来事です。

何時間目かの休み時間、私は友達と4・5人でトイレに行きました。
(私は恐がりなので、いつも誰かと一緒に行ってたんです。)
その時も友達と他愛ない話をしながらトイレに行ったんです。

学校のトイレって左右に3:4ぐらいの割合であって、一つだけ奥に洋式がありますよね。
私達がトイレに行くと奥の洋式の戸は閉まっており鍵もかかっていました。
そして異様な光景だったのは、戸の下の5センチ程の隙間からトイレットペーパーが丸々一個分位散乱していたのです。

散乱といっても切れ切れではなく、中心の紙筒から巻き取ったという感じです。
よく見るとそれはカラカラと音を立てながら、その5センチ程の隙間に結構な速さで吸い込まれていくのです。まるで誰かが手で巻き取っているかの様に。

私達は誰か生徒が中で引っ張っているのかと思い、
「誰か入ってるのー?」
と声をかけました。が、返事がありません。
ただひたすらにカラカラと個室の中にトイレットペーパーを引き込んでいます。

気味が悪くなった私はどうしようか、と一番仲の良い子に話し掛けました。
その友達(Cとします)はあまり恐いとは思ってなかったみたいで、
「じゃ私があれ止めてみるよ」
と言って片足で吸い込まれていたトイレットペーパーを止めてしまいました。

個室の中ではそれ以上無理に引き込む事はしないみたいで、音も止み、トイレットペーパーも止まりました。

そして、なんとCはそのまま片足で中に巻き取られていってたトイレットペーパーを引きずり出してしまったのです。
中からは相変わらず何の反応もありません。
私を含め他の友達は恐がってトイレの入り口で固まったままですが、Cはよほど個室の中が気になったのか戸の近くの窓枠に足をかけ、個室の中を覗きました。

「…誰もいない…」

そのCの言葉を聞いた私達は一目散に悲鳴をあげながら教室に戻りました。
先生に泣きつきましたが、当時の担任はまったく幽霊などを信じるような人ではなく、そんな事ある訳ないでしょう。と強く言われてしまいました。

その後はすぐ授業が始まってしまい、学校生活をしていく上でそこのトイレを使う事はありませんでした。
こうして今文章にすると恐くないですが、当時小学生だった私にはすごく恐い体験でした。

そして何より不思議なのは、なぜ、カラカラと音がしたのか。
もし人が引き込んでいたのであれば手を使うので音はしないはず。
カラカラという音は、普通、日常生活でトイレットペーパーを備え付けの場所から引っ張る時に発生する音ですよね。
なぜその音が逆に、個室に引き込まれるときに発生していたのでしょう。

もう10年も前の事なのでこれくらいの事しか思い出せませんが、カラカラという音がした事は確実に覚えています。

ほんのりと怖い話7

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