上半身と下半身

小学校の時の事です。

私の小学校は、いわゆる「校内掃除」が放課後にある所でした。
教室で集めたゴミを、外の焼却炉まで捨てに行く係だった私は、その時も、普通にゴミを運んで行っていました。
冬だったので、裏口から外に出ると、外がもう薄暗かったのを覚えています。

ぱんぱんになったゴミ袋を焼却炉に投げ込んで、引き返し、歩いていたのですが、後ろでガサゴソ、と音がしたので反射的に振り向きました。
見ると、焼却炉のそばに、人が直立姿勢で立っていたのです。

驚きました。たった今まで誰も居なかったはず。しかし、薄暗くてよく見えません。
下半身の辺りは草で隠れていて、トレーナーのような服の上半身だけがかすかに揺れています。
何がなんだかよく分からないまま、数秒は動けずにいたのですが・・・

何気なく横に目をやると、自分のすぐそばに、人間の下半身だけがありました。
本当に下半身だけ。あまりの事に喉から変な声が出てしまいました。
衣服は、ジャージのような感じだった気がしますが、この辺は曖昧です。

下半身は、腰の辺りから急激に細くなり、焼却炉のほうに向かって、ゴムのように伸びていました。

私は一目散に逃げました。意味不明すぎる。
誰かに話そうとも思ったのですが、うまく説明する自信が無かったのでやめました。
なので今まで、この話を誰かに言ったこともありません。
また当時の焼却炉は新品同様だった筈なので、そういう事に思い当たる節も無いのです。

あの下半身は、あの上半身のものだったのでしょうか?

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?206

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