浮く

ガキの頃の不思議な体験は幾つかある。

ガキの頃(小学校入学前)に俺は宙に浮くことが出来た。
空中「飛ぶ」と言う表現よりも空中に「浮く」と言った方が正確かな。
と言っても自分の意志で自由に浮くことは出来なかった。
しかも浮くのは階段限定。他の場所では浮くことが出来なかった。

俺の家は2階建てだった。
2階から1階に階段を下りる時に限って、たまに宙に浮くのだった。
俺が階段を下りようとすると、急に体が動かなくなって(金縛り?)、そのまま俺の体はエスカレーターの様に下まで平行移動、そしてソフトランディング。
綺麗に着地。その間体は全く動けない。着地と同時に動けるようになる。
俺は「エスカレーターだ!」と独りで楽しんでいた。
子供心に不思議だなとは思っていたが、そんなもんか、と勝手に受け入れていた。

不思議なのは、自分の意志では浮けないこと。
「体よ、浮け!」と強く意識したら全く浮くことが出来ない。
あまり意識せずに階段を下りる時によく浮くことが出来たな。
「今日は浮けるかな?」と階段を下りるのが楽しみだった。
しかも奇妙なことに、階段を上がる時にはこの現象は起きなかった。下りる時だけ。

母親と祖母に、「僕は宙に浮くことができるんだよ!」と言ったが、彼女たちは「はいはい」と言うだけで全く相手にしてくれなかった。

成長するにつれて段々と宙に浮くことは少なくなっていった。
小学校に上がる時分にはもう浮くことは出来なかった。
今でも不思議に思う現象。

不可解な体験、謎な話~enigma~ 45

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