昭和ヒトケタ時代の話。
当時、うちの祖母は祖父と結婚したばかりだったが、不幸にも結核を患ってしまった。
元々病弱だったこともあり、医者は時間の問題と診断。
あわてた祖父は藁にもすがる思いで神仏に祈り続け、ある日とうとう「お告げがあった! お前、80まで生きるってサ!」と言い出した。
いまにも死にそうな祖母はこれを聞いて苦笑。
「この状態で80まで生きられるわけないでしょ。もう少しマシな嘘をついてちょうだい」と。
しかし祖父は大喜びで看病に精を出し、結局のところ祖母は一命を取り留めたのである。
その後は空襲も戦後の混乱もしっかり生き抜き、祖父に先立たれてからも15年ばかり人生をエンジョイした祖母。
もちろん享年はきっかり80だった。
ほんのりと怖い話17