プール

長くなるが小学校の頃の話

俺はクラブ活動である理科クラブを終え友人達と一緒に帰ろうと、体育館にいる卓球クラブである友人の元へ行った。

俺達はいつも4人で帰っており、うち3人が理科クラブ1人が卓球クラブだった。
体育館に行くと卓球クラブは片付けをしていて友人も片付けの手伝いをしていた。
「もうちょっと時間がかかるから待ってて」と言われたので待っていることにした。

俺達は暇なので体育館の上(2階?)にコッソリ昇って遊んでいた。
ふと隣接しているプールを見ると誰かが泳いでいるのが見えた。
多分、身長から考えて高学年の女子かと思う人が頑張って泳いでいて、手を振ってみたら気づいたらしく、こっちに返してくれた。
そして、また頑張って泳ぎ始めた。

その後、友人の片づけが終わり体育館を閉め帰ることになった。
また別の日もそのまた別の日も、この前と同じように彼女は泳いでいた。

小学校最後の1学期も終わりに近づき夏休みに入ろうとしていた時だった。
卒業アルバム用にクラブ活動の写真を各クラブが撮っていた。
俺の理科クラブが最後に写真を撮ったらしく、できあがっている他のクラブの写真を見せてもらっていた。

「お、○○じゃん。」とか「こんな部もあったな」とみんなで見ていた。
そこには水泳クラブなど無かった。
そして、俺はその時に気が付いた。

卓球クラブが終わるとカギを持っている卓球クラブの生徒により体育館は閉められる。
プールの出入り口は体育館にしか無く更衣室も体育館内にあるのだった。
そのことに気付いたが恐怖心は無く、むしろ好奇心の方が強かった。
下校時刻の6時前くらいに体育館でプールを見てみようと思った。
そこに答えがあるはずだ、と子供なりの探求心とかあったんだと思う。

例のごとく彼女は泳いでいた。
そして6時の下校時刻になってもずっと泳いでいた。
俺が閉めるよ、と卓球クラブのヤツからカギを預かってるため閉められないが、そろそろ閉めなければ俺が怒られると思い、迷った末に帰る事にした。
最後に霊と思わしき彼を見ようとプールを振りかえると

彼女は背中を向けて浮いていた。

「やばい!溺れたのか!?」と思い慌ててプールへの出入り口を空けた。
霊とか人間とか関係無く溺れてるのを見てほっとけなかったのか俺は必死だった。
プールを見ると彼女は変わらず現実味の無い光景を見せ付けていた。
「どうにかしないと」と思って火災報知機のボタンを押した。
その間に彼女の体はどんどん沈んでいく。

職員室から先生が駆けつけて俺は「プールで誰かが溺れている」と言った。
すると「プールなんて使われてないんだ、誰かが泳いでるはずないだろ」と当たり前の事を言われた。
念のため、プールを棒などで探ってもらったりしたが何も見つからなかった。

もし俺が先生に頼らず、沈んでいった彼女を必死で助けたらどうなっていたのか、彼女を助けられたのか、それともどこかに引きずられたのか・・・。
そんな不思議な夏の出来事。

ほんのりと怖い話19

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