去年オーストラリアに海外旅行に行ったときの話。
ケアンズの郊外の、それこそ自然イッパイのところをレンタカーで走ってた。
………あれ。ん? これ、ここ、来たことあるよな。
と思ったんです。デジャブって言うヤツかなぁと思った。
あぁ、そこを曲がって車で20分で海岸があって……。
と思って、曲がって、……あぁ、そうそう。ここのね。この店……。
そういえば、オーストラリアの交差点は独特のロータリー方式だけれど、初めてなのにすんごくなじんでるわ。
で、あぁ、ここ、この家、あら、隣……変わってるわぁ。 って昔懐かしいーって感じにさいなまれた。
降りてみて、うろついてみてたら、家から白髪のおばあちゃんが出てきて、 「あっ!」って二人とも声を上げた。
おばあちゃんは、レイミーさんっていって、その名前も聞き覚えがある気がした。
家に上げてもらって、そして飾ってある写真を見てびっくりした。
レイミーさんいわく「これは私のお母さんの若い頃」といった。
見てみると、外人さんなんだけれど、私そっくりの人が白黒写真に写っていた。
レイミーさんは二階に誘って、昔、自分の母がつかっていたという、ミシンのある部屋を見せてくれた。
私は、あ、そうだ……あなたに、あげようと思って忘れていた……と、ミシン台の横の引き出しを開けて、フタの裏の封筒を取り出した。
中には、古ぼけた小切手が一枚。
私は、ほんとうに、ここにいたんだな……って実感できた。
今も、たびたびレイミーさんとは文通をしています。
不可解な体験、謎な話~enigma~ 48