骨壷

あたいのばあちゃん突然死んでしまった。
じいちゃんが家族の言うこと聞かず納骨しないで自分の部屋に安置していた。

三回忌にいいかげん納骨しようとして父ちゃんが骨壷を取り上げたんだけど軽い。
どうしたんだ、散骨でもしたのか!!と問い詰めたらじいちゃんがぜんぶ食べちゃったんだって。

じいちゃんは若い頃富山県で薬売りやってて、時代劇で見るごろごろ転がして薬草なんかを擂り潰すやつがあったんだけどあれで粉々にしたんだって。
そして味の素の穴の開いた容器に入れて味噌汁なんかに振りかけていたみたい。

じいちゃんは自分で大豆と麹を使って味噌もつくっているんだけど、時々じいちゃんが作った味噌汁を家族みんながおいしいおいしいといって飲んでいたことは考えないようにしている。

357 :ID:VSjmi0+V

家族の味噌汁には入れてなかったと思。
骨が美味しくて食べてたんじゃなく、どうしてもさびしいから体の中に入れておきたかったんだろう。
本当に愛されてたんだねそのおばぁちゃんは。

358 :ID:rJWgM71T

怖い話だけど、良い?話だなぁ。
(じいちゃん以外が骨入り味噌汁飲んだんならたまらんが)

まれに溺愛するペットでも死んだら食べる人がいると聞いたことがある。
「食べる」って人間てゆーか動物の一番原始的な行動のひとつだから、愛情もその形を借りて表れることがあるのかもね。

359 :ID:9WLKbSxk

余談になるけど、どっかの国(アジア)では「連れ合いが死んだら、残った片割れはその遺体を食べる」という風習があったそうな。
で、近代国家を目指す政府がそれを禁止したとき、ダンナに死なれたおばあさんはオイオイ泣いて嘆いた。
「食べることができないなんて、あたしはどうやってダンナと一緒になればいいんだ」

…いいから食わせてやれよ、と思った青春の夏の日。

360 :ID:mdRnc1YD

上田秋成「雨月物語」より「青頭巾」

泣に涙なく。叫(さけ)ぶに聲なく。
あまりに歎(なげ)かせたまふまゝに。
火に焼(やき)。土に葬(はうむ)る事をもせで。
臉(かほ)に臉をもたせ。手に手をとりくみて日を經(へ)給ふが。
終(つひ)に心神(こゝろ)みだれ。
生(いき)てありし日に違(たが)はず戯(たはふ)れつゝも。
其肉(にく)の腐(くさ)り爛(たゞる)るを吝(をし)みて。
肉を吸(すひ)骨(ほね)を嘗(なめ)て。
はた喫(くら)ひつくしぬ。

ほんのりと怖い話20

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