学校の怪談

たいして怖くないかもしれないが厨房時代の話。

私が通っていた中学ではとある怪談が流行っていた。
んでその概要はというと、

1.以前この学校にいた理科教師が重度の猫嫌いで、校内に入り込む猫を片っ端から殺していた。
2.それ以来校舎内で何故か猫の泣き声が聞こえる。
3.理科教師は猫のたたりで死んでしまった。
4.猫の幽霊を封じるために、校内の各所には犬のお札が貼られている。
5.トイレの鏡が取り外されている(ビスの跡だけ残っている)のは幽霊が映る(?)ため。
6.殺された猫の骨は骨格標本になり、今も理科室にある。

以上のような話を毎年1年が先輩から聞かされ、聞いた奴がクラスに広め、学年中で阿鼻叫喚になるという微笑ましい騒ぎが繰り返されていた。
まあでも信じていなかったわけだ。みんな楽しく騒ぎつつも。

トイレの鏡が取り外されているのは校内暴力が凄まじかった時代に壊されるくらいなら最初から外しちまえって撤去された名残だったし、理科室にある骨格標本とやらも業者から買った奴だったし、猫の声を聞いたってのも、まあ感じやすいお年頃の女子にありがちの思い込みじゃねvとかって。

その中で唯一気味が悪かったのは教室とかに貼ってある犬のお札だった。
造りは全然お札っぽくない。神社で売ってるあんな半紙製のじゃなくて、淡いオレンジの色上質紙3×4センチくらいの大きさで、闘犬がつけてるまわし? あれを付けた日本犬の絵が印刷してあるだけの紙。

それが各教室の引き戸の上(戸そのものではなく柱部分。戸が閉まると見えない)とか、体育館の更衣室のロッカー全て(奥の方に目立たないように貼ってある)とか、明らかに脚立でも持ち込まなければ届かないような階段の上の隅っことかに貼ってあるんだけど、まあ悪戯で誰かが剥がしたりするわけなんだが、でもすぐに貼り直される。

最低でも翌日、早いと当日数時間後にはもう元通り。その迅速さが気味悪いなと。
しかし毎日そんなことを気にしてもいられず、学年が上がるにつれ、後輩をびびらせて喜ぶくらいで忘れてしまった。

我々が卒業して数年後、友人の妹がその中学に入学した。
でもって最初の父母会の時、保護者のひとりが担任に質問したんだと。
「この学校、猫の幽霊の話がありますよね」って。

なんせ毎年流行る話で、中には本気で怖がってパニック起こす子もいる位なので親御さんは入学前から自分の子供が怖がってると心配してたらしい。
聞かれた担任の先生は、その中学出身(私と同学年ではなくもっと先輩)だったので限りなくオリジナルに近い話を知っていたんだが。
その話、まったくの実話ですた。

うちの中学は新しく作られた団地の中のさらに新設校で宅地造成されたばっかりだったからか、はたまた人があんまいなかったせいか、昔はあっちこっちに野良猫が歩き回って結構うるさかった。
創立当時猫が嫌いな理科教師がいて、裏庭でお産をした猫の子供をまとめて薬殺してしまったと。

で、それからずっと校内で猫の鳴き声がする。それも複数。
殺された猫の泣き声なのか、子猫を求める母猫の声なのか、うろついてた野良の声なのかはわからないが、無視できないくらいにうるさい。
んで学校ではお祓いをし、以来ずっと犬のお札が貼られているのだと。
創立時から在籍してる、物凄い怖い体育の女教師(校長より偉い)ですら猫の怪談話を特に止め立てしなかったのは、当時を知ってたからだと。

ちなみに件の理科教師はたたり殺された何てことは全くなく、無事に別の学校に赴任していったそうだ。
しかも猫の話が騒ぎになったのは、その教師が転任してからだったらしい。
本人に何かするんじゃなく、場所に残ったってのが怖いなとちょっと思った。

うーん。やっぱりそんなに怖くないな。
ただのネタだと思ってたのが実話だった、ってのが聞いたとき凄く怖かったんだが。

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?157-1

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