俺の中学校は、通学路とは別に近道があった。
かなり複雑な道で、千切れた鉄条網、膝ぐらいまである草、地面のぬかるみ・・・
だが、10分は短縮できたので、いつもそこから行っていた。

中二の冬だったかな。帰り道だった。
千切れた鉄条網をくぐろうとしてはっと横を見たら、10mくらい先の地面にポッカリと穴が開いていた。
そこから見ても分かるぐらいだから、近付くとやっぱり結構大きかった。
幅1mくらい、深さは2mくらいだった。
勿論、朝にこの場所を通った時はそんな穴など無く・・・

穴の中をよくのぞくと、土に塗れた小さな人形があった。
足は片方折れていて無かったが、顔は何故かやけに綺麗。
角度を変えてもっと見ようとして、あることに気付いた。
穴の側面、つまり穴の横側にもう一つ穴があったのだ。

どうしよう、気になるなあ・・・と思い、降りて行ってやろうと決め、身を屈めた瞬間、側面の穴から何か飛び出てきた。

折れた人形の足だった。

汚い土の色に、綺麗な肌色がよく映えていた。
??と思って穴をよく目を凝らしてみると、ゴソゴソと何かが動いていた。

穴の中に誰かいるんだ。

気付いて間もなく、あの汚い人形の本体(足が折れたやつね)が、ずるずると穴の方へと動いていった。糸でもつけていたのだろうか、奇妙な動きで穴の方へと向かった行った。

もう一言も出さずに帰ったけど、そこに筆箱を落としていた事に、家に帰ったときに気付いた。次の日、行くのはめちゃくちゃ嫌だったが、だからといっていかないわけにも行かなかった。
あの穴はまだ残っていて、なるべく見ないように探したんだけど筆箱は見つからない。
まさか、と思って穴に恐る恐る近付いてみたら、やっぱり、穴の底に筆箱が落ちていた。

昨日の人形の足もそのままだ。でも人形の本体の方は無かった。
どうしよう、どうしようと思っていたら、奇妙な動きで筆箱が穴へと引き摺られて行った。

やっぱり、側面の穴からはゴソゴソ音がしていた。

そこから足早に立ち去り、二度と行かない決心をした。
新しい筆箱はもちろん、中身も全部新しいのを買った。
俺は中学三年から、遠回りしてでもちゃんとした道を通うようになった。

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?153

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする