御盆は海と山に近づいてはいけない

4年前の盆休みの話なんだけど、怖い体験(自分的に)したので暇な人良かったら聞いて下さい。初めて書くので変な文になってます。海での体験より山での体験が本当に怖かった。

うちの家系では(地方では? )基本的に御盆は海、山どちらも近づいてはいけないという決まりがあり、小さいころから、ずっと海や山に盆は近づいたことは無かった。

そのことに、こだわってたのは、祖父や祖母の代の人であり父や母の世代からは、うるさく言われたことは無かったんだけど、小4位の時、年寄り世代が盆に山に入った2つ上の先輩を、どなり散らし、しばき回してるのを見てから、怖くなり、盆の間は、親戚の家、お墓参りぐらいしか外に出なかった。中学校まで、盆は墓参り、仏壇参り位しか、してはならない時期と思っていたほどだったw

市内の高校に入学して、皆が御盆でも、平気で海に泳ぎに行っているということを知り、本当に驚いた。
夏休みに入って、当然、メールが友人から来た。
盆の中日に海行って、キャンプしようという内容だった。
今まで迷信に騙され、御盆をエンジョイしてなかったくそう!爺婆め!!という気持ちが大きかった俺は、すぐ「OK」と返したと思う。

祖父、祖母にばれたら、怒られるのは分っていたので、父母にも本当のことは言わず、「市内の友人の家でBBQやる。 そのあと終電までの電車で帰ってくる、多分ついたら、11時くらいだと思う。」 と嘘をついた。
(これなら、11時くらいに終電に乗り遅れたと電話して、近くのファミレスで過ごすと言えば大丈夫だろうと思った。 父母は晩酌するから多分、市内まで迎えに来ないとふんでいた。)

当日、友人の兄(大学生)の運転する車で海水浴場に隣接する町営のキャンプ場に向かった。メンバーは、友人の兄も入れて、5人。
テントの設置を終えて、海で泳いだ。人はかなりたくさんいたと思う。「盆でも皆海で泳いでるじゃねーか!迷惑な迷信押し付けてくんなよ!!」
って思ったから。
海でも変な体験はあった。浮いてた海藻がどう見ても長い髪の毛であったり、ランニングシャツ来て海の中でボケっと立ってたオッサンが、急にもぐり、
いくら待っても浮いてこなかったり・・・。後、記念写真をテントの前で撮ったんだけど、5人とも膝頭に顔のようなものが写ってたり、1人だけ異常に青白い顔してたり。
まだいくつもあるけど、どれも、「気持ち悪いなー」位で気のせいと言われれば、そうかもなで終わる程度なので。それとスレ違いなので・・・。

日はまだ高かったが、5時頃にキャンプ場に戻り、BBQした。
飯食ってる時、今から何する?って話になった。
やはり予想通り、お約束の肝試しになった。
場所は、車で1時間くらいの、約1000mの山(登山で有名らしい)の登山道から500m位入った所にある神社に決定した。

俺はその神社のことは全く知らなかったが、大学生のDQNの間では出るって有名なところらしい。
近くの峠走ってる走り屋がなぜかここで死んでたとかなんとか。
車の中で怖い話(主に友人の兄の体験した話)してたときに教えてくれた。

そこへ向かう途中にも結構奇妙な事が起こった。
オートマ車にもかかわらずエンストを起こしたり、山道走ってたら遠くの前方に、懐中電灯くらいの灯りが見え、近づいてくるように見えたのに、結局誰ともすれ違わなかったり。
(一本道のはず)
地図確認のために路肩に車を寄せて停車したら、車を寄せた方の道路にあった街灯が一斉に消えたり・・・。

なぜか皆(俺も含めて)、怖がらず逆に盛り上がっていった。
皆、テンションが上がっているのだがおかしなテンションで、何と言うか、楽しさで上がっているわけではなく、かといって、怖いから無理して上げていこうというのでもない、なんだろうか?言葉で表現しにくいテンション。全身の毛が逆立ってるような感じ?
もしここで何かのきっかけがあったとしたら、車の中で、皆が笑いながら、全員死ぬまで殴り合うんじゃないかと感じさせる異常なテンション。

そうこうしているうちに、そこに着いた。駐車場の脇にダムがあり、そこからから登山道までダムを半周する形で歩かなければならない。
今思えば、深夜(といっても10時位だが)で、先には山しかないんだから、なぜ登山道入り口付近に車を直付けしなかったのか分らない。
その時は俺を含め誰も気にならなかったみたい。

印象に残ってるのは皆、ニタニタしてた。
誰も冗談一つ言ってない、誰もしゃべってない、嬉しいことなんて何も無い、ひたすら友人の兄の後に付いて歩いてただけなのに・・・。
俺もなぜか無性に嬉かった。多分笑ってたんだと思う。

登山道入口に着いたが誰もそこで止まることなく山道へ折れて行った。
山道に入ってからだと思う。
誰ともなく、「んふふふ」、「プッククフ」って声を出し始めた。
笑い声を無理に押し殺そうとして、できず、口から息が洩れてしまったような声。
今思うと本当に気持ち悪いし怖い。
あの時俺も多分笑ってたんだからゾッとする。
神社に着くころには、皆、声を出して笑ってた。

今思い出してみると、全員、引き笑い?になってたような「ひっひっくっひっひッ」みたいな笑いかただったから。
俺は嬉しくてたまらないのに、涙を流してたはず。
後、軽い呼吸困難みたいになってて苦しかった。
神社の鳥居をくぐると、皆、一斉に別々の方向に向かって歩いていった。

俺はしばらく境内の中をぼんやりふら付き、小さい池(堀?)のようなものを見つけ、その淵にしゃがみ込んでた。
涙が池の中に落ちるのが何故か、楽しくてしょうがなかったんだと思う。
「ぅお~~い!!」、「ぅお~~~~~い!!!」「きて~~~~!!」
境内の真ん中で友人の兄が、嬉しそうに叫びながら皆を呼んでいた。

その声を聞いたとたん、何故か今までの最高に嬉しかった気持ちから急に、どうでもいい、だるい、面倒くさい、嫌だ、やるせない、そんな気分に変わり、「ああ行かんとな・・・。」と思った。

皆に近づくにつれ、どんどん悲しくなった。
最後には嗚咽してたかもしれない。
懐中電灯に照らされた友人の兄は満面の笑みを浮かべていた。
手には朽ちてささくれ立った縄を持っていた。
皆はすすり泣いていたと思う。

「さーぁ!着信が入りました 相手はいったい誰なのか この携帯の持ち主の知人でありましょうか? はたまたまったくの他人なのか? 184を押してしまえば・・・・」
突然、俺の携帯から大音量でアナウンスがはじまった。
一瞬「ふんん?」と思うと、1テンポ遅れてビックリし半分腰が抜け、尻もちを付いてしまった。と同時に大事なことを思い出した。
11時が来た。親に電話しないと!!

周りを見渡すと、俺の隣にいた友人も腰を抜かし、目が合うと、「お前の?なんやー!ビビったわー」みたいなことを言った。
兄の方は、縄を持ったまま小声でゴニョゴニョつぶやいてた。

とにかく俺も隣の友人も、おかしな状況であることに気づき、変になってる友人3人をゆすった。
兄の方もゆすったが、縄を掴み「ウーッ」ってうなってて、おかしいままだったから、とりあえず、駐車場まで戻ろう。兄は最悪引きずって行こうって事になった。

縄を取り上げ、引っ張ってみると、思ったより、すんなり付いてきた。
何故か、意識がはっきりとしていたであろう、この時の方が良く覚えていない。
一回兄が暴れて、引っ張ってた弟がこけたような気がしないでもないが、とにかく、駐車場の車に乗り込んだときには皆いた。

車に乗り込んだときには、時折、激しいしゃっくりはするものの、いつもの友人の兄に戻っており、「よーわからんけど、なんだったんや!?」みたいなことを言ってた。

とりあえず、30分位の所にあるファミレスに行くことになった。
また、兄がおかしくならないかが心配だったが、誰も車の免許を持ってないので、せめてと、平井堅のpopstarと、ゆずとか、テンションの上がる歌を熱唱して気を紛らわせた。
ファミレスに着くと、12時少し前で人はまだたくさんいた。

店内に入って席に座った時に着信が入った。母からだった。
すっかり、電話入れるのを忘れてた。
「11時過ぎても帰ってこんし、電話はつながらんし、ホンマにアンタなんしょんな!!」
と、怒鳴られた。
母が友人の家に電話をかけたらしく、キャンプのため海に行ったことは、すでにばれているらしかった。
とにかく婆ちゃんがカンカンにお怒りらしい。

その時は意外に落ち着いており、まだ、山に肝試し行ったことはばれてない。
ばれたら婆ちゃんや爺ちゃんがどれだけ怒り狂うか…。ショック死するほど悲しむのでは、と思って言わないことにした。
確か、キャンプ場で隣の客が変な人だったから、ファミレスで時間をつぶしてるとか何とか適当に嘘を言ったと思う。
片づけもあるだろうからと翌日の昼までに家に帰る事を条件に許可が下りた。

後から父に聞いたら、その時の婆ちゃんはいつもからは想像できないほどに怒っており、「もう知らん!!」と自分の部屋にこもってしまったらしい。
父も生まれて初めてあんなに怒った婆ちゃんを見たらしい。

皆、ビビってたはずなのに、なぜか自然とさっきの恐怖体験の話になった。
こっからの会話は思い出しながらだから若干変わってると思う。

最初は、
「ホンマなんだったん?あれって集団暗示ってやつか?」
「コックリさんとかってあんな感じになるんか?こわー!」
みたいな話だったんだけど、
「でも俺、意識はあったんよね。ボーとして、流れに逆らえんかっただけっていうか。ゆすられた時に流れが消えた感じですっきりしたけど。」
「(友人の兄)さんは、ゆすられた時、すっきりせんかったんですか?」って友人の兄に一人が聞いた。

「俺、最初から最後まで全部意識あったよ。あれ演技なんよ。どう?ビックリしたやろ? 幽霊なんておらんって!冷めた??じゃ、もう一回行こう。もぅ一回さっきの所行こう。」
俺らは、はぁ!!演技?ふざけんな!!って本気で怒った。
皆、あの時、自分がおかしくなってたのを自覚してたから、余計に怖くなって怒ったんだと思う。

「冷めさせてしまって悪かったわ。なぁ、もっかい行こうや…。次はふざけたりせんけんさー。さっきの所いこーや、なぁー。なーって。もっかい行けばいいやんかー。」
皆が「絶対もう行かん。」っていっても、
「行こうやー。根性無しかー。あれくらいでビビる奴がどこにおるんやー。もっかい行けばすむことやんかー。」と、さっきの所に皆で戻ろうって繰り返す。
語尾が異常に伸びてるのが印象的だった。

俺たちは兄にドン引き。冗談でもこれはおかしいって思い始めた。
隣に座っていた半泣き状態の弟(兄の手を引いて車まで走ったやつ)が、脇腹をつつき、腕を差し出してきた。

腕には、爪で深くえぐるように引っ掻いた跡が残っていた。
今まで気付かなかったのが不思議なくらい血が出ていた。
演技でここまで弟にするか…。脛を指差すので見ると、そこも内出血していた。
皆、兄が演技ではなく今もおかしいままだと確信した。

「行こうや-。行けば分かるンやけんー。」
ってうわ言のように呟く兄を無視し、明日、朝一でとりあえずお寺に行こうって事になった。
疲れてたからか、賑やかで安心したからか眠気が襲ってきた。
それに気付いたのか、弟は、兄貴は自分が見るから、寝たい人は寝てくれって言った。
俺は我慢できずにすぐ寝てしまった。

ファミレスの店員に起こされて目が覚めた。
皆寝ていたみたいだった。
問題の兄も寝ていた。
店員の手前、皆を起こしてみたところ、兄は正常に戻っていた。
昨日のことはあまり覚えていないらしいが、とにかくとても幸せな気分で嬉しくて仕方なかったらしい。

神社で縄を見つけてからはその後の記憶があやふやで、皆を呼んだことも覚えてないということだった。
記憶はあまり無いが、感覚として、達成感から来る快楽的なもの?が凄く、やり遂げた!という感覚だったらしい。

6時ごろ、十分に日が昇ったので、ファミレスを出た。
そのままどこか近くのお寺に行きたかったが、兄が、朝早すぎるし、この辺の地理は良く分かんから、○○さん(山?)(地元の有名な寺らしい)に行こうと言い出した。
とりあえず、いったんキャンプ場によって、テントを片付けようということになり、キャンプ場へ向かった。

テントを畳んでいると、母から着信が入った。
「お父さんと○○キャンプ場の近くの喫茶店でモーニング食べよるけん迎えに行く。片付けまだなん?終わったらまた連絡して。」とのことだった。
お寺で一緒にお払いしてほしかったが、お寺に行くというと、理由を説明しなければならない。肝試しがばれるのはごめんだった。

片付けが終わり、両親に迎えに来てもらい俺は帰ることになった。
父も母も同じ集落出身で、小さいときから盆には海、山に行くなと言われ続けてきたので不安だったらしい。
それに加え、婆ちゃんの慌てようにこれは異常だと感じ、迎えにきたということだった。

家に着くと、爺ちゃん、婆ちゃんはカンカンにお怒りだった。
殴られこそしなかったが、今にも殴られんばかりの剣幕で怒鳴られた。
嘘を付くことは最低だ!とか、あれだけ何年も言い続けてきたのに海に行ったんか!裏切ったんやね!とか散々に怒られ、今日は一日中、お経を上げるようにと言われた。

言われた通りお経を読んでいると、父と母も部屋に入って来て、読み始めた。
最初、俺のために読んでくれていると思ったが、いつまでたってもやめて部屋から出ようとしない。

申し訳なく思って、
「もうえーよ。ありがとう。大丈夫やって、ちゃんと一人で読むから。」って言うと、
「お父さんとお母さん、あんた迎えにキャンプ場の海辺まで行ったやろ?やけん、今日一日ずっとお経読まないかんみたい。」
それを聞いて、ゾッとした。

父と母は、海が見えるか見えないかのキャンプ場にほんの少しの間いただけだった。
このままじゃやばいんじゃないかと不安になった。
肝試しで怖い体験したのも、俺が行ったらいかん所へ行ったからなんか…?
怖くなり婆ちゃんのいる居間に駆け込み、昨日、海と山へ行き、山で肝試ししたこと、そこで起こったこと全て洗いざらいしゃべった。

婆ちゃんは目をひんむいて怖い顔をしたが、とりあえず今日はお経を読み続けるように言った。
爺ちゃんはあきれた顔をしていたが、無事帰ってきたんやけんよかった。って言ってたと思う。

日が変わるまで、3人でお経を読み続けた。
日が変わって遅い晩御飯を食べている時、爺ちゃんに、なんでこの集落では盆に海、山に近づいたらダメなのか聞いてみた。
また、肝試しの時に怖い思いしたのは、行ったらいかん山や海に行ったからか聞いてみた。

爺ちゃんは、昔からダメって言われよるだけでずっと前に理由を聞いたけど良く覚えてないらしい。
聞いたことを要約すると、ここの集落に広がっているのは、特殊な仏教?(仏教じゃなかったかも)で神道や一般的な仏教のようなお盆の意味じゃなく、独自のもの、山や海の神とは別で仲が良くない?とかなんとか。興味あるなら、詳しくはお寺に聞けと言われた。

「怖い思いをしたのは、海や山に行ったことが、直接関係あるかどうかは知らん。まあ、無事に帰ってこれたんやけん良かった。」
爺ちゃんの言葉に、婆ちゃんはずっとうなずいてた。

「とりあえず、あんたは、明日、朝一番にお寺に行って来なさい」と祖母に言われた。

父に、「でも携帯のアラームが鳴らんかったら、お前ら危なかったんと違うか?」と言われ、悪寒がした。
本当だ。もしあの時に鳴らなかったとしたら、5人はどうなっていたんだろう。
「何のためにセットしといたんか知らんけど、良かったなあ。」

考えてみれば、11時にアラームセットしておいたのは、この集落の独自の迷信があり、破るとひどく怒られるためだ。怒られないために…キャンプがばれないためにセットした。
もしこの迷信がなかったら…

肝試しの恐怖体験は、俺が海や山に行ったことに関係なく、おこるものであったとしたら…。

背筋が凍った…と同時に迷信に、また、これを受け継いできた集落に守られた気がした。

友人たち、友人の兄は皆お祓いを受けてその後、特に不幸なことは起こっていなないみたいです。
友人の兄は結婚して幸せに暮らしています。
俺は、次の日お寺へ行き、お祓い?してもらいました。その後、また一日中お寺でお経上げました。今まで特に変わったことは無いです。元気に大学生やっています。

山にまつわる怖い話50

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