夜歩く

今から七年ほど前に俺は友人の運転する車で事故に遇った。
大型トラックに突っ込まれ電柱に激突。
車外に放り出された俺は背骨に重傷を負ったものの一命は取りとめた。
しかし車内の友人は運転席で潰されほぼ即死状態だったようだ。

俺自身、四日間程意識が戻らなかったらしいがその後回復。
背骨の怪我も当初「一生車椅子の恐れが…」と言われたが、二度の手術のおかげで「リファビリ次第では希望が持てます」とまで言われるようになった。
しかし事故から二か月…まだ背中の痛みは引かず身体を起こすのもやっとの状態だった。
そんなある晩のことだった…

ふっと目が覚めると背中ね痛みが全くない。
不思議に思って試しにベッドから降りてみるとフラフラながらも何とか立てた!
俺は嬉しくなって早速ヨチヨチと歩く練習を始めた。
しかし10分もするとさすがに疲れその晩は寝てしまった。

翌朝…背中はいつにも増して激痛が走っていた。
当然起き上がることなど出来ず、俺は昨晩無理した事を悔やんだ。
しかしその晩…
また夜中に目が覚めると背中の痛みがない。

俺は朝の後悔もあって止めようと思ったが、やはりどうしても歩いてみたくなりベッドから降り立ってしまった。
「立てる…昨晩より楽に歩ける気がする」
俺はまた練習してしまった。
翌朝の結果は同じだった。しかも激痛は更に酷いものだった…

そんな日が続いて何日目か朝の激痛が治まってきた。
俺は練習の甲斐があって良くなってきたのかと思ったが結果は逆だった。
医師からは「何がどうしてなのか…背骨の状態が悪化しています。今後手術しても歩くのは厳しいでしょう」と言われてしまった。

俺は現在、車椅子の生活を送っている。
しかしいまだに夜になると歩く練習をしている。
今ではだいぶ歩けるようになった。

実は昨晩の練習中に死んだ友人に会った。
友人はこう言っていた…

「だいぶ歩けるようになったな… もう大丈夫だろう。 そろそろ行くか? 俺と一緒に… 明日の晩迎えに来るよ」

僕は今晩友人と出かけてみようと思う。
夜の散歩に…

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?147

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