夜の山道で出会ったもの

昔、友人の家に遊びに行くために、駅からその友人と2人で夜の山道(とは言っても舗装されてる道路)を歩いていた。

最終に近い電車だったので、駅を出た時には辺りに人も居なく、ぽつぽつとある街灯のみの真っ暗な道を2人で歩いていた。
適当に話をしながら進んでいると、前から人がうつむき加減で歩いてくる。
髪は長く、女性のようだった。

その人が近付いてくるにつれ、異常に気がついた。
それは子供で、しかも小学生ぐらいの女の子だった。
裸足で、足が4本(もっとあったかも)、片腕はなく、代わりにもう片方に腕が3本あった。
友人も、その異常さをすぐさま理解していた。

怖くてどうしようかと思っているうち、その子が目の前にまで来て、俯いたまま俺達の前で止まった。
顔を上げるなよ・・・とか考えていると、友人がいきなり大声でこう言った。

「最初はグー!ジャンケン!」

友人はパーを出した。
呆気にとられた俺が友人とその子を交互に見ていると、暫くして、女の子が3本のうち1本の手を伸ばし、チョキを作ってピュッと出した。

「ああ!負けた!お前ジャンケン強いな!」

明らかに後出しだったが、友人はまた大声でそう言った。
やがて女の子は無言で俺達の横を擦り抜け、向こうに歩いていった。

そこからは猛ダッシュ。急いで友人宅に駆け込んだ。
彼曰く、「なんかこう、突拍子もない事でもした方がいいような気がしてさ」との事だった。

山にまつわる怖い話57

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