消防のころ、教室で女子たちが話していたのを盗み聞きした話。
何やら怖いことがあったらしくて、どうしたらいいかって相談をしているようだった。
内容は、こんな感じ。
仮に、その女子をAと呼ぶとして、Aには友人が2人いた。
いわゆる仲良しグループと言うヤツで、彼女たちはいつも3人で遊んでいた。
Aたちは下校中に、あるウワサを検証することを思い立った。
それは、複数の公衆電話からぴったり同時に177にかけると、混信して10円で何分でも電話で話ができる、と言うものだった。
彼女たちは何度目のチャレンジで、ついに成功し、電話でのおしゃべりをたっぷり楽しんだ。しかし、
「4人いない?」
確かに電話口の向こうから聞こえてくる声は3人。
自分も含めれば4人いることになる。
さらに奇妙なことに、声はどれも聞き覚えがあり、どれが4人目なのかわからなかった。
4人目は誰か。そして、何者かとパニックになりかけたとき、ひとりが提案した。
「ひとりずつ名前を言おう」
名案だと思ったAは、真っ先に名前を言った。
それに続いて、電話口からも、2人目、3人目の名前が聞こえてくる。
どれも最初に実験を始めた仲良しグループのメンバーだった。つまり最後の1人が、謎の4人目と言うわけだ。
しかし、4人目は名前のかわりにこう言った。
「覚えたよ」
そこでAは「名前を言おう」と言い出したのが4人目だったことに、ようやく気が付いた。
声は、それっきり聞こえなくなった。
4人目は何者だったのか? 名前を聞かれた自分たちは、どうなるのか?
それからしばらくして、俺は親の都合で転校することになった。
だからAたちが、その後どうなったか俺は知らない。
ほんのりと怖い話50