小学生のとき、俺はよく紙飛行機を作っていた。
紙飛行機といっても折り紙じゃなくて、紙のパーツを張り合わせて作る本格的なやつ。
本を参考にして自分でパーツをデザインするんだけど、なかなかよく飛ぶ紙飛行機ができないんだよね。
試行錯誤の末、ついにデザインも滑空性能も抜群の紙飛行機が完成した。
本には滞空時間を競うコンテストのことなんかも載っていて、その記録を目指したいと考え
ていた。
ある日、広い部屋で輪ゴムを使ってその紙飛行機を飛ばすと、勢いがつきすぎて部屋と部屋の境の天井の低くなってる部分
にぶつかってきりもみ状に垂直落下した。
ここまでは普通だけど、床に落ちる直前に何故か視界から消えたんだ。
こういった場合、どこか途中に引っかかっていることが多いけど、そこに引っかかる場所なんてなかった。
落下したであろう場所の周りの床も確認したけど、どこにも落ちていなかった。
紙飛行機が隠れられる場所は、ゴミ箱と棚の中、ベッドの下くらいしかないのですぐ探してみたものの、やはり見当たらない。
タンスの上など、高いところも隈なく探してみたが姿はない。
そもそも、窓も閉まっているのに床近くまで落下したはずの紙飛行機がそんな高いところに引っかかるはずはないと思う。
その時は薄気味悪くなったので一度部屋を出て、一番のお気に入りの紙飛行機ということで後で掃除のついでによく探してみたんだけど、結果は同じ。
家族も紙飛行機は見つけなかったし、掃除機でも吸えないだろうから今でもどこかで眠っているはず。
それが一体どこなのか・
不可解な体験、謎な話~enigma~ 83