学生時代、ワンルーム借りて一人暮らししていた時の出来事。
その日はちょっと手の込んだ夕飯を作っていた。
慣れないことをしたものだから、狭いキッチンを右に左にバタバタ。
鍋に気を取られていると「ガサッ」と音がした。
かろうじて置けていた傾いたまな板から包丁が床に落ち、レジ袋に不時着した音だった。
「もう完成するし、後でいいや」と落ちた包丁を放置したまま夕飯を食べた。
夕飯を食べ終わり洗い物をする訳だけど、落とした包丁が見つからない。
転がるものでもないし、なによりまな板の下のこの袋に落ちたのを見ている。
仕方がないので床に散乱していた全てのレジ袋を畳んでみたが、無い。
あまりに見つからないのでキッチン周りの大掃除に発展。
すっきりピカピカにはなったものの、肝心の包丁は発見できなかった。
唯一の包丁、しかもセラミック製のちょっと良いモノだったので、何としても発見せねばと時々探してはいたものの、見つからないまま年月は過ぎ、部屋を引き払うことになったので荷造り&大掃除。
結局、最後まで包丁が出てくることはなかった。
この後、実家でも落とした包丁を1本行方不明にしている…母さんごめん。
不可解な体験、謎な話~enigma~ 84