家の家族は俺と親父と兄の3人で、高校の頃まで風呂は親父→俺→兄の順番で一緒に入ってた。
俺は高校に3年頃になると家族で入るのが恥ずかしくなってわざと遅く入って親父と重ならないようにして、兄には「~分したら入ってきてくれ」とか言ってその時間より早くでてた。
で、その日も1人で入ってたんだけど扉のところから「ガタッ」と音がした。
うちの風呂場の扉は不透明で、10×30センチ位の曇ったプラスチックの窓が二つ並んである。
その窓を見ると、両方の窓に手の平が見えた。ちょうど中を覗く感じで手を押し付けてるみたいだった。
兄が待ちきれずにわざとおどかしてると思い、ちょっと待ってて~とか声をかけた。返事はなくて、手の平をぐーっと窓に押し付けてきた。
その手が、小刻みに震えてる気がしたと思ったら「ぎゃぎぎゃぎぎぎぎゃ!」みたいな叫び声がして、もうめちゃくちゃ怖くて体も動かせなかった。
そのあと、廊下の方から「うわー!」って兄の声がした。
知らないオッサンが走って玄関から出てったらしい。
それ以来、きちんと戸締まりをするようになった。
ほんのりと怖い話59