お盆の時期に見える

2年くらい前の夏、団地の1階に住んでて、台所でお茶を飲みつつぼんやり外を見てた。
外を見てたと言っても窓際からじゃなく台所の奥のほうから見てた。
そしたら家の前の道を、青い長袖の服を着たおっさんが通りかかるのが見えた。
暑苦しい服装に見えて、暑そうだなーって思いながら眺めてた。
窓の開いてる右の方から現れて、窓ガラスのとこに入ったところでスッて消えた。

窓は磨りガラスなのでかなりぼやけるんだけど、青いのがまったく見えなくなったのでおや?っと思った。
テケテケと窓に近づいて、開いてるほうから外を見たけど誰もいなかった。
おっさんが進行方向に歩いてたらまだ見えるはずだし、他の道はこの団地の階段に入るくらいしかないので、階段のほうに行ったのだろうと思った。
しかしあの進行スピードだと、階段に向かうにしても窓から覗いた時見えそうだったので違和感を感じていた。

数日後、似たような感じでお茶を飲みながら外を見てたら、またあのおっさんが同じ服装で通りかかった。
気になっていたので、なんとなく窓に近づいていった。
それまではおっさんのことは真横からしか見てなかったけど、窓際にくると移動するおっさんの体はだんだん斜めの角度で見えてくる。

そこでギョッとした。
おっさんの身体は左半分しかなかった。
真っ二つではなく、頭から肩までは普通にあって、右肩のちょい下あたりから右半分が無かった。
左半身は普通に歩いてる感じで階段のほうへ入っていった。
怖さもなんにもなく呆然としてしまった。

その後しばらく見かけなかったけど、次の年の夏に一度だけ見かけた。
どうやらお盆の時期に見えるらしい。

家の中から見える時はそんなに怖くないけど、家から出る時や帰ってくる時に会ってしまったらどうしようとほんのり恐怖を感じる。

ほんのりと怖い話59

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