隣町の山の中に、所謂、御神木と呼ばれる大木がある。
夏になればカブトムシやクワガタが捕れ、子供達には絶好の遊び場だった。
この御神木には、昔から、山神様が住み着いていると言われている。
イタチのような姿(俺は見た事は無い)をしているとも。
この山神様は悪戯好きで、人が御神木に近付くと目にも止まらぬ速さで駆け寄り、人の足を引っ掛けて転ばすと言う。
だから、御神木の傍に居ると一回は必ず転倒する(実際、俺も何度か転んだ)のだと言う。
さらに、山神様は人の声真似が得意で、御神木に向かって声をかけると、同じ声で返って来る(小六の時に、実際にやった)。
今は伐採されて御神木は無いが、その切り株にイタチのような獣が寝転んでいる姿が、今も、たまに目撃されている。
山にまつわる怖い話65