中学生の頃、夏休みの部活に行く途中でメスのかぶと虫を拾った。
今までかぶと虫なんて飼ったことなかったので(実際、母に見せるまで大きなカナブンだと思ってた)ひとまず桃が入ってた空きパックに入れ、三角コーナーのネットでフタをしておいた。
その日の晩、居間で寝てしまった私は、なぜか深夜に目が覚めた。
そして天井の隅を見ると、真っ暗な部屋なのに白い影みたいなものが見えた。
最初のウチは何かの光が当たっているのだろうと思ったけれど頭がハッキリするにつれ、違うと確信した。
なぜなら次第に人のカタチになっていったからだ。
目の錯覚だと信じたいけど、そのわりにはハッキリしすぎている。
恐いのに目が離せない。どうしよう。
泣きそうになってた時、突然部屋に「ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ」という音が鳴り響いた。
かぶと虫が脱走したのだ。
母と私でかぶと虫を捕まえた後には、その白い影はなくなってた。
あの白い影はなんだったのかは未だにわからない。
追い払ってくれたんだろうか?
ちなみにそのかぶと虫はかぶと虫のくせに11月まで生きた。
ほんのりと怖い話76