寝ぼけがひどい弟

私が小学3年生くらいのころの話。
1つ下の弟の寝ぼけがひどく家族で困っていた。

寝ぼけ方はいつも同じで、最初はうーうー唸る。
その後「俺の…俺の腕返せ!!」とか言いながら走り回る。
これが週に1回か2回。
ひどいときには家の外に飛び出すこともあり、父が弟を必死に取り押さえることもあった。
取り押さえられた弟は泣きながら
「俺はもうだめだ!殺してくれ!」
なんて言うものだから母はその度に泣いていた。

こんなことが2年ほど続いた。
弟が小学校の高学年になるといつの間にか寝ぼけはなくなっていた。

私が高校2年生になったとき。
弟の寝ぼけなんかとうに忘れたころ。
私がベッドで寝ていると戸を引っかく音が聞こえてきた。
飼ってる猫が入れて欲しがってるのだろうと思い、私は猫が入れるくらいの隙間を開けてやった。

でも入ってこない。
いつもならすぐに入ってくるのに。。
変だなとは思いつつ隙間を開けたままベッドに戻った。

いつの間にか寝てしまった私は再度戸を引っかく音で目が覚めた。
ただ、今度は体が全く動かなかった。
初めての経験に焦っていると、視界の端に動くものが。
それは戸の隙間から入ってくる腕でした。
青白いその腕は部屋の中を這いずり回った後、スッと消えていきました。

次の日、このことを家族に話すと、母も同じものを見たそうです。
この日から金縛りにあうとこの腕を見るようになりました。

この腕は寝ぼけた弟が探していた腕なのでしょうか?

不可解な体験、謎な話~enigma~ 103

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