透明なおじさん

自分が幼児の頃、透明なおじさんが友達だったよ。
透明なんだけど、中肉中背。
服装はよく思い出せない。何か白っぽい服?
それから、何故かたまに包帯をしていた。

「何でしてるの?怪我したの?」と聞いても「おじさん、透明だから時々包帯するんだよ」と言われ、そうなんだ、ふーん…と思った記憶がある。
女の子が誘拐されたり何だのニュースがTVで放送された時、親に知らない人について行くなと言われ、「透明なおじさんは知らない人になるんだろうか?」と悩んだ事も。
透明なおじさんに聞いたら、「○○ちゃんはおじさんがついてるから危険な目には合わないよ、絶対に。」

因みに親や他の大人には「おじさんの事は秘密だよ。」と言われ口止めされていた。
色々遊んで貰って、お話もした。
だけど小学生になった頃に、急におじさんの「気配」が分からなくなった。
多分近くにいるのに、姿が見えない。声も聞こえない。
何となく寂しかった。
そして○○おじさんと読んでいたはずなのに呼び名がどうしても思い出せない。

あのおじさんは何だったのだろう。
今もそばにいるんだろうか?

会社をずる休みしたり、ロクでもない事に現を抜かしていると必ず、しっかりかけてあるはずの上着やカバンが落っこちたり、ナベがピシッと鳴る。
せっかく見守ってくれてるのに、未熟者で申し訳ないやら何やら。
でもお風呂は見守らなくてイイからね、おじさん。

ほんのりと怖い話79

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする