2年くらい前の話だけど、怖いというより奇妙な体験。
その前年の正月明けに友人が山で行方知れずになって、慰霊という名目ではなかったが、夏に友達3人と道北の山に登った時の話。
中腹の平原のように広がった場所でテントを張って、仲間と楽しく飲み食いしてそれぞれのテントに戻る。
20時で疲れはあるものの眠気はないので、シュラフを被って座りながらパック酒をチビリチビリしていた。
なんだか感傷に浸ってきて、行方不明の友人と飲むつもりで前にもう一つパック酒を置いて、「辛かったなあ、寂しかったろうな」と独り言のように語った後、いい感じになって横になった。
まだ眠くはないが、仰向けになって物思いにふけってた。
突然、テントより少し離れた場所から、ジャラって重そうな鎖を引きずる音がした。
ジャラジャラジャラと音がして少し止む、またジャラ、ジャラジャラとして、またピタッと止む。鎖を重そうに巻くような音。
現実的な音というよりは、なにか妙にエコーがかかってるような不思議な響き。
その時ふと、友人は地獄に落ちてしまったんじゃないかと思った。
地獄で永遠と重い鎖を巻き取る作業をさせられてるようなイメージが頭に浮かんだ。
なんだか悲しくて、仰向けのまま手を合わせて冥福を祈った。
で、翌日、友人に昨晩の音について確認すると、暫くは同じように起きていたがそんな音は聞かなかった、と言われた。
不思議な体験だった。
山にまつわる怖い話75