迎え

じいちゃんから聞いた話

明治生まれのじいちゃんがまだ子供の頃、毎日父親と山仕事に出ていたそうだ。

ある夏の日の夕方に、いつもの山道を下って家に帰ろうとしていた時のこと。
いつもは家で待っているはずの母親が山道で提灯持って名前を呼んでたそうだ。
おっかぁ(母親)が迎えに来たねって走り出そうとしたじいちゃんの腕を父親が掴んではなさなかった。

不思議に思って「なんで?」って聞いてみると
「おめぇ、おっかぁは今日俺たちがこっちの山来ること知ってたか?今日は沢に行くからっておっかぁに言ってねぇべ?麓なら待ってるのもわかるが、アレはおかしい。 おっかぁじゃねぇ」
ってぼそっと言われたんだって。

二人でそっと近づいて行くとおっかぁは「ふっ」と消えてしまったそうだけど、そこは草が茫々と生えた崖の側だった、アレはおっかなかったな。って話

昔はキツネやタヌキに化かされたって話いっぱいあったそうだけど、じいちゃんの話は不思議な話がいっぱいで本当に面白かった。

ほんのりと怖い話90

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コメント

  1. 匿名 より:

    ハクビシンじゃない?キツネはそこまで危険な騙しはしないぞ