昔、私の弟はチンピラでや○ざの仕事をしていた。
晴○埠頭やら川崎の辺りで仕事をしていたが、ある日ミスをして、ぼこられて足を折られ、樹海に棄てられた。
虫の息の弟が何とか目を開けると、眼鏡をかけたサラリーマンが自分を見下ろしていた。
銀行マンみたいな七三にしたおじさんだった。
「どうしました?」と、おじさんは小さい声で言った。
弟は泣きながら「カーチャン……カーチャンの豚汁食いたい……」と言うのが精一杯で動けなかった。
七三おじさんは弟に「行きましょうか」と言い、弟は、七三おじさんは自分を連れて行く気だと諦めて気を失った。
次に弟が目覚めると、車の音が微かに聞こえていた。
七三おじさんは「右側○号線だけど、私はここまでしか出来ないから、後は……頑張って」と、森の中に入っていった。
弟は結局さらに一日かけてじわりじわりと身体を引きずり道路に出て、通りすがりの車に発見され、病院に搬送された。
一応、警察には七三おじさんの話をしたが、話を聴いた警官は、「あー……その人ね、たまに出るんだよ。もう20年前くらいの人だから」と言われた。
七三おじさんは樹海で自○した人らしいのだが、たまに人助けをする霊だった。
弟は若干足が不自由になったが、今は真面目に働いている。
ほんのりと怖い話114