友人から直接聞いた実話です。。

Oは、昔から読書が大好きな少年だった。
いつも何かの本に夢中になっては、誰かに止められるまで読みふけっていた。
彼の家は築十数年の木造二階建て。Oは二階にある一室を勉強部屋として与えられていた。
そんな、ある休日の午後のこと、、、
Oはいつものように、自分の部屋で、冒険小説に夢中になっていた。
そして読み始めてから数時間経った頃…

「はーい。なあにー?」
母親に自分の名前を呼ばれた気がして、Oは大声でそれに応えた。
扉を開ければすぐに階段があり、そこを降りれば1階である。
食事や用事がある時は、いつも母が階下から呼びつけるのだ。
しかし、返事はなかった。

あれ?思い違いだったかな?とOが思った時、スーっとふすまが小さく開いた。
「……?」
寝転がったまま、ふすまの隙間から向こうを見ると、母親が「おいでおいで」と手招きしている。
「…何なの?」
やっと身を起こしたOが、ふすまに手をかけようとしたその時——

ふすまが消え、母親が消え、視界いっぱに地面が飛び込んだ!

「うわあああああああああああ!!!??」

Oが向かったのはふすまではなく、まったく逆方向にある筈の、窓だったのだ。
なんとかバランスを保って墜落をまぬがれたOだったが…
「もし落下防止用に取り付けられた柵が、もう少しでも低ければ」
そう思い返す度にゾッとするという。
果たして、彼が見たのは幻だったのだろうか?

****
それから二時間ほどして、本物の母親が帰宅した。
家の中で独りきり、恐怖にうち震えていたOは、すがりつき、泣きながら母親に事のあらましを説明した。
すると彼女は神妙な顔をし、意外な話を息子に聞かせてのだ。

「私も最近おかしなことばかり起こるのよ。二日前のことなんだけどね、お買い物から帰ってきたら家中の窓が全部開けはなれてたのよ。もちろん家には誰もいないし、出かける前に戸締りはちゃんと確認したはずなのに。あれは何だったのかしらね—–」

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?23

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